新種ウイルスに打つ手なし―香港
長官の手腕に疑問の声も
【香港23日時事】香港では二十三日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)による死者が百人を突破した。感染者の症状も以前より重くなる傾向があり、新種のSARSウイルスは香港政府の対策強化にもかかわらず、猛威を振るい続けている。
日々増える感染者数に、董建華行政長官の手腕を疑問視する声も高まってきた。市民は感染予防のマスクを外し始め、「マスクをしてもしなくても同じ」とあきらめ顔。反中派官僚として人気のあった陳方安生(アンソン・チャン)前政務官の復活待望論も聞かれる。
最前線で治療に当たる医師を悩ませているのが、集団感染の発生した九竜地区のマンション街「アモイガーデン」の感染者の症状だ。下痢がひどく、症状の悪化が急速に進み、抗ウイルス剤にも好反応を示さないという。アモイガーデンの感染者は三百人を超え、特に持病のない中年層を含め約二十人が命を落とした。
こうした現状に、香港大学の袁国勇主任(微生物学部)は「突然変異で毒性が強くなっていく特別なウイルス」との見解を示す。しかし、アモイガーデンの感染例はまだ詳しく研究されておらず、結論は出ていない。
政府の対策に決め手が欠けるのは、感染源が依然としてあいまいなこともある。アモイガーデンの集団感染や、三月に起きたホテル宿泊客の連続感染は、いずれも中国広東省から香港入りした感染者からスタート。しかし、その追跡調査は行われていない。