中国経済を直撃―SARS
成長鈍化、華南から北京へ
【北京22日時事】新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染が中国広東省や香港など華南経済圏だけでなく、首都北京にも拡大、中国全体の経済成長に影響を及ぼすのは必至だ。世界保健機関(WHO)は上海にも調査チームを派遣しており、SARSが中国最大の経済都市も直撃する可能性が大きい。
中国国家統計局が十七日に発表した今年一―三月の国内総生産(GDP)は前年同期比9・9%増となり、一九九七年以降で最高の伸び率を記録した。しかし、この数字には四月初め以降に本格化したSARSの影響は及んでいない。
「世界の工場」の中心地、広東省は既に年間成長率見通しを二ポイントも下方修正。国家統計局幹部は「(中国全体でも)旅行や輸送業界に影響が出る」と認めており、四―六月の成長は鈍化に向かうとみられる。
SARSの感染予防のため、五月一日から七日までのメーデー大型連休も縮小されたが、北京市民は「旅行どころではない」のが本音。同じく大型連休を迎える日本など海外からの旅行者も例年ほど見込めず、航空、旅行、ホテル業界は大きな痛手を受けるのは確実だ。
国家統計局によると、一―三月には外国直接投資と輸入はともに前年同期比五割以上の伸びとなり、「中国では外資が成長を支えている」(日中関係筋)。しかし、北京の大多数の日本企業は「日本からの出張は最大限自粛」(大手電機メーカー)で、駐在員も「新規ビジネスよりもSARSの情報収集に追われている」(同)という。
一方、「患者隠しの判明で、地方政府で特に指摘される経済指標の水増しにも疑惑の目が向けられる」(日本企業)とみられ、SARS問題は中国の成長神話に影を落とし始めている。