反米反戦デモを許可―北京
30日、500人限定で決行
【香港29日深川耕治】二十九日付の香港各紙によると、北京の民間団体「反戦声明大署名」が北京市当局に申請していた「米英のイラク戦争反対」デモ行進は二十八日、正式に許可され、三十日、北京市繁華街から外国大使館エリアまで行進する形で約三百人から五百人が参加する。一九八九年の天安門事件以来、中国当局が民間団体による大規模なデモ行進を公式的に認めるのは初めて。
インターネット上で米英軍によるイラク戦争の反対署名活動を展開している民間団体「反戦声明大署名」は二十五日午後、北京市公安局治安総隊にデモ行進の申請を行い、公安当局は申請を受理。同申請では北京市の繁華街、王府井を通過して北京の英国大使館と米国大使館前で座り込み抗議を行う計画案を提出していたが、北京市当局は二十八日、文書による回答を行い、デモ行進自体は許可したものの、英米各大使館前での座り込み抗議は大使館側の安全を考慮して不許可とし、近くの日壇公園での集会に変更するよう通達した。
同団体のデモ行進は三十日午前十時半(日本時間同十一時半)から北京市東単を出発し、繁華街の東長安街、建国門のルートをデモ行進、日壇路を経て外国大使館エリア内にある日壇公園でデモ行進後の集会を開き、同午後三時(同四時)に終了する予定。デモ参加者は申請している約五百人以内に限定される。
デモ行進の距離は約四キロで参加者三百人から五百人が車両も使いながら「米兵はイラクから出て行け」「小ブッシュはヒトラーだ」「強権政治と覇権主義反対」など反米、反英、反戦のシュプレヒコールを繰り返すことが準備されている。
北京市公安当局は当日、突発事件の発生防止のため、現場に数百人の警官を派遣して周辺の秩序維持に務める。
また、北京在住の外国人約百五十人が北京市当局に申請していた「北京平和行動」という組織名の反戦デモも規制条件付きながら許可され、三十日、北京市内の別ルートでデモ行進が行われる。デモ参加予定者は北京市内のインターナショナルスクールの英国人教師や米国人教師、北京駐在のユーゴスラビア人ら。
中国政府はこれまで英米軍によるイラク戦争に反対を表明し、国連安保理の枠組みでの解決を主張。中国内では一般人民による反戦を訴える声が広がって、中国人民大学、北京大学、清華大学など名門大学の学生らが米国大使館前での反戦集会を大学当局に要求したが、「勉学優先」を理由に拒否。北京市内の高校生や一部の学者、文化人らも反戦デモの申請を重ねてきたが、不受理や不許可だった。天安門事件の再来など不測の事態を憂慮する中国政府は「デモが唯一の表現手段ではないはず」(中国外務省の孔泉報道官)との立場から、国内で反戦デモをこれまで禁止してきた。
中国国内では、一九九九年五月、北大西洋条約機構(NATO)軍による在ベオグラード中国大使館誤爆事件で中国人の死者が出たことに抗議する反米デモが無許可黙認の状態で学生を中心に全国各地でわき起こり、デモは中国政府の制御では抑制できずに米大使館への投石、放火にまでエスカレートした経緯がある。