豪政府、アルカイダ活動家をサウジに引渡し?
米同時テロの2カ月後
【バンコク29日内藤毅】オーストラリアの有力紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」二十九日付は、昨年十一月にオーストラリア政府がテロ組織アルカイダの活動家と見られるサウジアラビア国籍の男性を別件で逮捕しながら、サウジアラビアの秘密警察に引き渡したことを報道した。オーストラリアでは現在、今月十二日に発生したバリ島の爆弾テロを契機として、同国の甘い治安対策が問題視されている。このため、今回の報道はハワード政権にとって、さらに風当たりを厳しくするものとなる可能性がある。
同紙が報じたところによると、アルカイダの活動家と見られるのはアル・ジョウフィと名乗る男性で、一九九九年三月にオーストラリアに入国している。この男性は、メルボルンなどのイスラム系社会に潜伏し、チェチェン共和国でロシアと戦うイスラム戦士を募集していたほか、資金援助を募っていた。しかし、男性は協力を断った人々に対して、たびたび脅迫や暴力行為を行っており、地域のイスラム社会からは「危険人物」とレッテルを貼られていた。
その後、治安当局がこの男の逮捕、一連の暴力事件に対して禁固9カ月の判決を下したが、偽造書類で入国していたことや偽のパスポートを複数所持していたことなどから、移民省は男にビザを発給することを拒否。男はサウジ・アラビアの秘密警察に身柄を引き渡され、昨年十一月に出国した。この男性は少なくとも十年前から、アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン氏の信奉者とされ、アルカイダの活動家だった可能性が強い。
これまで、オーストラリア政府は自国内にアルカイダの細胞組織、もしくは同組織への同調者は存在していないとする立場を取ってきただけに、この報道は政府のテロに対する取り組みの甘さを表沙汰にしたかっこうだ。特に、労働党などの野党からは、「この男性を出国させるべきではなかった」、「十分に背後関係を調べるべき」とする声が上がっている。