比、相次ぐ爆弾テロに衝撃
空港、モールなど警備強化
【マニラ21日鴨野守】警戒を強める治安当局をあざ笑うかのように卑劣なテロ事件が今月、マニラ首都圏とミンダナオ島で相次いで起きている。アロヨ大統領は国民に、軍や警察が厳戒態勢を敷いていることを訴え、「少数のトラブルメーカーに、平穏な日々を破壊させてはならない」と呼びかけた。今月末から来月初めにかけては、日本のお盆に当たる「万霊節」をはさんでの四連休。さらに事件が続けば、経済・観光などへのダメージも大きい。
百八十七人の死者を出した十二日夜のバリ島テロ事件の約四時間前、インドネシアの北スラウェシ州マナドにあるフィリピン領事館近くで、小型の爆弾は炸裂した。幸い負傷者はいなかったが、比国軍は翌十三日以降、大使館など国内の主要な施設や外国人がよく訪れる観光地の警戒を強化した。
これは、インドネシアでの事件が外国人や、テロ対策で米国と共同歩調を取るフィリピンを標的にしたもので、事件の背後に東南アジアのテロ組織ジェマ・イスラミア(JI)や、ウサマ・ビンラディン氏率いる国際テロ組織、アルカイダがあるとの分析に基づいた措置だった。
ディスコ爆弾テロとJIの関係はまだ明確ではない。だがフィリピン警察は今年一月、JIのメンバー四人が大量の爆薬を隠し持っていたとして殺人未遂容疑などで逮捕。その後の調べで彼らが、百人以上の死傷者を出した二〇〇〇年末のマニラ首都圏の連続爆破テロに関与した疑いが明らかになった。メンバーの供述から、南ダバオ州ゼネラルサントス市では爆薬一dが押収された。
比政府は十四日、国家安全保障会議(NSC)を招集し、東南アジア域内でテロ事件が続発する危険性があるとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国や日本、中国などと「対テロ地域会議」の開催を呼びかけることを決定。また、国民身分証明番号制度(ID制度)の導入実現を図ることで一致した。
だが、無差別テロ事件はこうした比政府に真っ向から挑戦する形で起きている。
十七日。ミンダナオ島サンボアンガ市のデパートと警察署近くの商店で相次いで爆弾が爆発。買い物客ら七人が死亡、百四十人以上が負傷した。
十八日夜にはマニラ首都圏ケソン市バリンタワックのエドサ通りで走行中のバスの後部で爆発、二人が死亡、二十人以上がケガを負った。さらに二十日夜、サンボアンガ市のカトリック教会前に置かれていた自転車に仕掛けられていた爆弾がさく裂、警備にあたっていた海兵隊員ら二人が死亡し、十八人が負傷した。地元警察は二十一日、自転車を置いたとみられる男一人を拘束し、現在取り調べている。
ゴレス大統領顧問(国家安全保障担当)はケソン市でのバス爆発事件について、二○○○年十二月にマニラで発生した連続爆弾テロと全く同じ爆発物が使われたと警察当局が伝えてきたことを明らかにしている。また国家警察は二十一日、犯人に関する情報提供者に百万ペソ(約二百四十万円)を支払うと発表した。
国家警察は一連の事件に、JIや国内のイスラム根本主義過激派、アブ・サヤフなどが関与している可能性が強いとして捜査を進める一方、ショッピングモールや公共機関の警備強化を指示し、マカティ市内などでは警察犬を配備。来月からは警官二千人を増員する予定だ。
十一月一日は、諸聖人を記念する万聖節で国民の祝日。二日は、日本のお盆に当たる万霊節。政府は十月三十一日、十一月二日を特別休日としており、この四連休は帰省や墓参りで多くの人が移動する。来月からは本格的なクリスマスシーズンとなり、十二月は乾期を迎えての観光客が見込まれる時期だ。
マニラ首都圏ではさらに、爆弾予告が携帯電話のテキスト・メッセージなどを通じて一部に流れている。