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2009年6月11日

大統領の行動は制限されず

欧米の報道に問題あり

在ウィーン スーダン大使 マハムード・ハッサン・エラミン氏に聞く

 国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)が3月4日、スーダンのバシル大統領に逮捕状を出したことを受け、スーダンと国際社会との関係が再び対立してきた。そこで在ウィーン国際機関スーダン政府代表部(駐オーストリア大使兼任)のマハムード・ハッサン・エラミン大使とウィーンの同国大使館内で会見し、同国政府の立場、ダルフール紛争の和平への見通しなどについて聞いた。
(聞き手=ウィーン・小川 敏)

【エラミン大使略歴】1953年4月生まれ。ハルツーム大学卒。77年に外務省入り。サウジアラビア、チェコ、ワシントンなどに駐在。今年4月に在ウィーン国際機関政府代表部兼駐オーストリア大使に就任。アラビア語、英語、仏語に堪能。
 ――ICCがバシル大統領への逮捕状を出して以来、スーダンと国際社会との関係は再び険悪化してきた。

 スーダンはICCの加盟国ではない。関連文書を批准していない。その立場から言うならば、わが国はICCとは全くかかわりがない。ICCが何かを決定したとしても、関係がないことだ。ICCの決定はわが国の政権交代をもくろんだ政治的動機に基づいている。合法的でもない。ICCの決定はスーダンの和平プロセスに悪影響を及ぼしている。すべての国は公平とする国際法に反するものだ。重要な点は、わが国はICCメンバーではなく、ICCを公認していないという事実だ。

 ――バシル大統領は先月、南アフリカを訪問する予定だったが、南アがICC加盟国ということで訪問できず、代理を派遣している。スーダンの外交が停滞する懸念がある。

 ICCの決定後、バシル大統領は既に10カ国を訪問している。先週はジンバブエを訪問したばかりだ。スーダンからジンバブエを訪問するためには数カ国を経由しなければならない。大統領の活動は何も制限されていない。大統領はカタールのアラブ首脳会議に出席し、リビア、エリトリア、エチオピアなども訪れている。大統領の行動半径は制限されていない。

 ――ダルフール紛争の現状はどうか。

 国際社会はダルフールの紛争を今世紀最悪の人権蹂躙と呼び、これまで30万人以上が犠牲となったと報じている。ここで気付いてほしい点は、犠牲者数の30万人という数字は2005年に初めてメディアに登場した。そして4年後の今日もメディアは30万人が殺害されたと報じているのだ。05年から犠牲者数に全く変化がない。これが事実とすれば、ダルフール紛争は05年以降、停止したか、それとも犠牲者数がもともと事実でなかったかのどちらかだ。すなわち、ダルフール報道では欧米のセンセーショナルな報道が先行し、事実は完全に無視されてきたのだ。政府は06年、ダルフールの紛争勢力と交渉を開始したが,その中の2勢力は政府との和平交渉を拒否した。政府は無条件の交渉を呼び掛けてきた。カタールでの首脳会議でも紛争勢力の対話を呼び掛けたばかりだ。しかし、国際社会は政府の対話路線を歓迎せず、ICCは間違ったシグナルをダルフール紛争勢力に発信し、反政府活動を扇動しているのだ。

 ――スーダン南部で先月末、部族間の衝突が発生し、244人が死亡したというニュースが流れたばかりだ。

 部族間の衝突だ。コルドファンの部族間衝突には歴史的な対立が横たわっている。それを欧米メディアがいつものように大げさに報じているのだ。死亡者数244人も不確かだ。もちろん,政府は紛争を安定化させる国際支援にはいつも歓迎だ。

 ――ところで、オバマ米大統領のカイロ演説をどのように受け止めているか。

 とても感動的だった。米国大統領から過去、あのような演説を聞いたことがない。スーダンは米国との良好な関係を願っている。もちろん、米国だけではなく、欧州、アラブ諸国,イスラム世界とも同様だ。わが国は米国の新しい政策がどのように具体的に展開されていくかを注視している。

 ――最後に、中国はスーダンに対して資源外交を展開し、巨額の投資をしている。スーダンと中国との関係は。

 中国とは理想的な関係を構築してきた。今後とも関係を拡大し、政治的、経済的にも関係を深化させていく方針だ。中国側の投資はわが国の利益を尊重したものだ。一部の(資源外交という)中国批判は当たっていない。

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