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平成22年1月16日

ハイチ大統領、7000人埋葬−気温30度で衛生状態悪化

picture ハイチの首都ポルトープランスの歩道に放置された地震の犠牲者=14日(AFP=時事)
 【サンパウロ時事】大地震に見舞われたハイチのプレバル大統領は14日、これまでに約7000人の犠牲者を集団墓地に埋葬したと語った。ロイター通信が伝えた。震災から丸2日が経過し、生存者の救出が刻一刻と難しくなる状況で、市民の間に絶望と焦燥感が広がっている。

 今回の地震では10万人超の死者も懸念されているが、国家機能がまひしており、依然として被害の全容はつかめていない。同通信は首都ポルトープランスの総合病院当局者の話として、安置所に約1500人の遺体が集められ、今も続々と運び込まれていると伝えた。

 現地からの映像では、犠牲者の遺体には布が掛けられ、多数が路上に放置されたまま。生き延びた被災者も行き場を失い、30度を超える暑さの中、感染症のまん延など衛生状態の悪化は深刻になっている。

 海外からの救援隊や援助物資も続々と到着。しかし、機材や人手不足で運搬に手間取り、食料や水、医薬品を求める被災者には十分に行き届いていない。崩れた建物のがれきのほか、犠牲者の遺体が支援団体などの移動の妨げになっているもようで、ハイチ政府は国連駐留部隊などと協力し、犠牲者の埋葬を急ぎたい考えだ。

「無政府状態」の悪夢再び 略奪、銃声後絶たず

 【サントドミンゴ時事】大地震に直撃されたハイチでは、震災後の復興はおろか、真っ先に取り組むべき被災者救助や支援作業すら満足に進まない事態が続いている。政権中枢が壊滅的被害を受け、統率する「司令塔」が不在のためだ。度重なる政情不安に悩まされてきたハイチは、再び「無政府状態」の悪夢にさらされようとしている。

 真っ暗闇の中を、人々が叫び声を上げながら右往左往する−。米CNNテレビは余震による「津波の情報」におびえた市民の表情を克明に報じた。結局はうわさにすぎなかったが、通信が遮断され、「孤島」に置き去りにされたという意識が強い被災者にとっては一大事だ。こうした混乱に乗じ、商店が略奪されたり、銃声が聞かれたりしたとの報告も後を絶たない。

 現地からの映像を見ても、治安維持を担うはずの警察や国連派遣部隊の姿は、街頭でほとんど見られない。目に付くのは、行き場のない市民や血の付いた包帯を巻いた負傷者、路上に遺体が並ぶ無残な光景だ。

 世界中のメディアの関心が集まる中で、AFP通信は「記者はいらない、もっと医師をよこせ」と声を荒らげる男性の怒りを伝えた。

 既に国家としての体を成さないハイチが「無政府状態」に直面するのは、初めてではない。約30年に及ぶ軍事独裁政権後、1988年に民政復帰を果たすも、相次ぐクーデターで国は混乱。2004年には、アリスティド大統領(当時)退陣を求める右派民兵組織の攻撃で、首都で略奪が横行する無法状態を味わった。

 クリントン米国務長官は「ハイチ政府は、完全に機能することはできない」と指摘。米軍部隊や医療団、空母や艦船を派遣し、ハイチを全面支援していく意向を示している。

世界各国が続々支援 地震被害のハイチ

 ハイチの地震では、1億ドル(約91億円)の緊急支援や軍部隊最大3500人の現地入りを決定した米国をはじめ、世界各国が救助隊派遣や物資供給など人道支援に乗り出している。

 旧宗主国フランスは海軍艦船2隻を派遣すると表明。既に活動中の部隊に加え、救援部隊80人と援助物資5トンを追加投入する。

 また、英国は当局者や救助隊75人、オランダは60人を派遣。それぞれ捜索犬も同行させた。カナダは救助隊のほか、援助物資を載せた軍艦やヘリコプターを用意。ロシアは野外での病院設営に必要な資材や医療機器を持ち込む。欧州委員会は300万ユーロの資金援助を発表、ベルギーやデンマークなど欧州各国はこれに上乗せする形で個別に資金を拠出する意向だ。

 中南米では隣国キューバが医師30人を派遣したほか、ブラジルが1000万ドルの支援を約束。ペルー、ベネズエラも支援を表明した。アジア太平洋地域ではオーストラリアが900万ドル、日本が500万ドル、韓国が100万ドルの支援を決めた。

 このほか、世界銀行が1億ドル緊急拠出を決定、国際赤十字は総額1000万ドルの募金活動をスタートさせた。国際援助団体の国境なき医師団(MSF)は現地でテント診療所を設営、負傷者の救護に当たっている。(ワシントンAFP時事)

ハイチの地元信仰が障害に 進まぬ遺体処理、衛生悪化

 【サントドミンゴ時事】ハイチの大地震では、街頭に放置されたままの犠牲者の遺体が衛生状況を悪化させる可能性が高い。遺体処理が進まぬ背景に、地元に根強く残る民間信仰を指摘する声がある。

 黒人が人口の9割超を占めるハイチでは、フランス植民地時代にアフリカから連れて来られた黒人奴隷が持ち込んだ原始宗教とカトリック信仰が混じり合ったブードゥー教が広く普及している。

 遺族には、ブードゥー教にのっとった儀式を執り行うまでは、感染症まん延などの危険性があっても、遺体には手を触れさせないという気持ちが強いという。このため、布などをかぶせただけの遺体が至る所に並べられ、「適切な埋葬」を待つ状態が続いている。

 国連ハイチ安定化派遣団の主力を構成するブラジルの国防省は14日、こうした遺族感情に配慮した特別な埋葬方式を可能にする墓地の設営をハイチ側に提案。実現できれば、優先事項の一つである衛生の改善が期待できそうだ。



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