平成21年11月12日
オバマ政権、核戦略見直しで政府から意見聴取−米核戦略へ日本影響力
巡航ミサイル「トマホーク」=2002年、米カリフォルニア州(米海軍提供)
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【ワシントン時事】米国防総省高官は11日までに、オバマ政権の核政策の指針となる「核戦略体制の見直し(NPR)」策定を進めるに当たり、これまで数回にわたって日本政府から意見聴取したことを明らかにした。同高官は「(核の傘を含めた)同盟国を守るための拡大抑止とその保障はNPRの中核となる」と言明した。
オバマ大統領は核兵器のない世界を目指す一方で、目標達成までは核抑止力を保持するとしている。高官の発言は、同盟国である日本の意見を根拠に、抑止力を強化する考えを示したものといえる。
高官は「効果的な抑止力を提供するために、まず日本政府の見解を聞くことから始めた。さまざまなレベルで協議している」と言明。日本との協議では「将来、拡大抑止のためにどのような能力が必要なのかが焦点になっている」とし、NPR策定で日本政府の意向が尊重されることを強調した。
日本側の要望の内容は明らかにしなかったが、戦略核と戦術核、通常兵器を組み合わせた「完全な抑止力を維持し、提供する」と強調した。
NPRでは、老朽化した核弾頭の維持の是非も焦点。攻撃型原子力潜水艦用で、現在陸上で保管されている2013年に退役予定の核巡航ミサイル「トマホーク」を延命させるかどうかは検討中で、まだ結論に至っていないとした。
また、戦略核の中心を担っている潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に搭載する核弾頭(W76)について、高官は「現在、延命させるため改修しているが、長期的に安全に維持するには改修だけでは不十分だ」と指摘。代替弾頭の開発を含め幅広い選択肢を検討していることを示唆した。
核戦略体制の見直し(NPR)
核戦略体制の見直し 米国防総省が中心となり5〜10年間の核戦略の指針や部隊の規模などを定めた報告書。見直しは今回で3回目。2002年公表の前回見直しでは、従来の戦略核兵器に通常戦力やミサイル防衛などを含めた総合的な体制を構築するほか、北朝鮮などを想定し、地下施設を攻撃できる地下貫通型の小型核兵器の開発を進めるよう大統領に勧告した。今回の見直しは年内に作業を終え、来年1月に議会に報告書を提出する。(ワシントン時事)
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【解説】 日本の意見、戦術核延命にも影響 早い段階から水面下接触−米核戦略
米国防総省が核戦略体制見直し(NPR)策定で日本政府と緊密に連携していることが明らかになり、日本の意向がオバマ政権の核政策に影響を及ぼすことが明確になった。使用への「敷居」が戦略核より低く、有事の際には攻撃型原子力潜水艦に搭載される核巡航ミサイル「トマホーク」など戦術核を延命させるかでも、日本の意見が重視されることになる。
米政権のNPR策定を踏まえ、日本政府は早い段階から水面下で米側関係者と接触を重ねていた。
核兵器に関する政策についてオバマ政権に提言した超党派の「議会戦略態勢委員会」(委員長=ペリー元国防長官)が5月に公表した最終報告書は、協議した日本政府当局者4人の名前を列挙。同報告書は「幾つかのアジアの同盟国は、トマホークの退役を非常に懸念している」と指摘している。
被爆国として核兵器廃絶を訴えてきた日本だが、北朝鮮の核開発の脅威にさらされる中、米国の核の傘に依存している現実もある。
日米両政府は2005年の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、米軍の役割と任務、能力について「米国によって提供される核抑止力は、日本の防衛を確保する上で不可欠」と位置付けた。鳩山政権が今後、米国の核抑止力維持にどのようにかかわっていくのかが注目される。(時事)
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