平成21年5月18日
感染者96人に 新型インフル
大阪・兵庫の高校生ら
教員や母親、小学生も
厚生労働省などは十七日、大阪府と兵庫県内の高校に通う生徒ら計八十四人について、新型インフルエンザへの感染が新たに確認されたと発表した。成田空港の検疫で見つかった四人、十六日に判明した神戸市内の二高校の八人と合わせ、感染者は計九十六人となった。
感染者は高校生やその家族、高校の教員のほか、小学六年女児や大学生ら。同省は「感染者の家族が通う別の学校、職場に広がっている可能性もある」との見方を示した。
同省は現地に国立感染症研究所の研究員らを派遣。学校や家庭で感染者と接し、感染の恐れの大きい「濃厚接触者」をリストアップする「積極的疫学調査」を本格化させた。外出自粛を求め、感染拡大防止を急ぐ。また感染範囲が限定されているか、地域全体に広がっているかを把握する。
調査で地域全体への拡大が分かれば、ウイルスの封じ込めは困難。政府は行動計画の警戒度を上げ、重症者の治療に集中して軽症者には自宅療養を求めるなどの対策に切り替えることになる。大阪府の橋下徹知事はこうした切り替えを国に先行して行う方針を表明した。
新たに感染が確認されたのは、兵庫県内では、十六日にバレー部員らの感染が判明した県立神戸高校、兵庫高校(いずれも神戸市)の生徒と母親▽神戸高校と交流試合をしていた県立高砂高校(高砂市)バレー部の生徒▽県立八鹿高校(養父市)のバレー部生徒と教諭▽神戸市立工業高専の生徒▽同市の私立高校生徒▽西宮市に帰省していた関西大(大阪府吹田市)の学生−など計四十五人。
大阪府では私立関西大倉高校(茨木市)の生徒や家族、教員ら三十八人と八尾市の小学六年女児の計三十九人の感染が確認された。
これまでに、少なくとも大阪府内で約四百校、兵庫県内で九百校以上の小中高校や保育所、幼稚園などが休校を決めている。関西大のほか大阪大(大阪府吹田市)、桃山学院大(和泉市)、関西学院大(兵庫県西宮市)など一部の大学も自主休校を決めた。
拡大止まらず、広がる影響
「渡航歴なし」盲点に
集団発生、新型と見抜けず
新型インフルエンザの感染は十七日、大阪府へ拡大し、水面下で関西地方の広域に及んでいる恐れが強まった。国内感染者は四十人を超え、高校生以外の教員や大学生でも確認された。休校やイベント中止が相次ぎ、民間の集客施設への休業要請も。「このままでは機能が停止する」。自治体側からは、国に対策の再検討を求める声も上がった。
関西の高校生らの新型インフルエンザ感染が相次いで明らかになったが、その少し前から、複数の高校で季節外れのインフルエンザ集団発生が把握されていた。しかし、発生国への渡航歴がなければ新型を疑ってかかるのは困難。結果として、かなり拡大してから判明することになった。
政府関係者によると、生徒の感染が確認された大阪府茨木市の私立関西大倉高校では、多くの生徒が休んでおり、「学校は通常のインフルエンザと思って学級閉鎖していた」という。シーズンを過ぎたとはいえ、まだ従来の季節性インフルエンザは相当数発生している。通常の診察では、A型かB型かの簡易検査しか行わない。
神戸市のある私立高校では先週、生徒七人がインフルエンザで欠席したほか、発熱や風邪の症状の生徒がおり、学年閉鎖を実施した。学校関係者によると、「病院でA型インフルエンザと言われたから休む」などと生徒から連絡があり、時節柄「詳細に調べてもらうように」と指示したという。
しかし、ウイルスの遺伝子検査をしたかどうかや、その結果は把握しておらず「新型ではなかったと聞いているが…」と関係者。
神戸市医師会のインフルエンザ対策本部会議でも、「A型が高校生ではやっている」「この時期におかしい」との話が出ていた。ただし、国内発生のない段階では、遺伝子検査はどうしても渡航歴のある患者が優先となる。最初に感染が確認された男子高校生の検体も、遺伝子検査が行われたのは依頼してから三日後だった。