書評
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『李朝 暗行御史霊遊記』

中内かなみ

韓国版・妖怪バスターの活躍

 平安時代の陰陽師・安倍晴明がブームになっているが、先行きの見通しのつかない現代人の精神的な不安を映しているのかもしれない。オカルト的なものへの興味、ホラー小説の隆盛は、社会の混乱と殺伐な事件などと無関係ではないだろう。

 本書は、サッカーW杯の日韓共催で、韓国への関心が高まっていることをもろに反映したような、韓国版・妖怪バスターの活躍する物語。韓国特有の妖怪(トッケビ)など、日本ではお目にかかれない化け物が現れる。

 といっても、主人公の暗行御史は、本来は王直属の検察官ともいうべき存在で、各地に忍者のように微行しては、その地を治める役人が不正を働いていないかどうかを探る役目だった。

 それを著者は、李氏朝鮮時代の最初に呪文などで封じられた妖怪たちが、その護符の力が衰えたのに乗じて暴れ回るのを退治するというゴーストバスターに代えているのが特色だ。その趣向が一つの彩りとなって興味深いものがある。

 貧乏貴族の息子の金学烈は、両親や親族の期待を一心に担って科挙に合格し、若いながらもすぐに任官して、勤務に励んでいる。と、突然、その役職を解かれ、王直属の秘密の官吏である「暗行御史」に任命される。

 各地に跋扈(ばっこ)し、人民を苦しめている妖怪を退治せよという命令を受け、金学烈は名前を変えてひそかに各地を巡行の旅に出た――。

(角川書店 本体一、五〇〇円)



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