童話作家はいかが
斉藤 洋著
作家への道のりを面白く記す
童話作家というと、イメージがなんとなくいいので、作家志望の中でも人気があるようだ。童話を書きたいという女性も少なくない。作家養成塾やカルチャーセンターに熱心に通っている人もほぼ女性が多いようだ。
書き手あるいは書きたい人が大勢なのに対して、児童文学ないし童話をめぐる出版界の状況は厳しいものがある。本が売れないので、書店でも棚が縮小されている所もよく見かける。
売れない原因は、いろいろありそうだが、絵本や童話を親が読み聞かせるという習慣がなくなったということもあるだろう。ファミコンに代表されるゲームの全盛も、子供たちの活字離れを促している原因かもしれない。
そんな状況の中で、全世界でベストセラーになった「ハリー・ポッター」の本はいったいどうして売れたのか、という疑問にもなる。だが、「ハリー・ポッター」がベストセラーになったのは、やはりその本が面白い、ということ抜きにしては考えられない。
現象を分析するよりも、童話に豊かな面白さをどう盛り込んでいくか、という面で努力していけばいい結果が得られるようにも思うのだ。やはりいいものはいいのであり、それがどんな思想であるとか、どんな社会批評があるといったことでは、本は読まれないのである。
そのような児童文学をめぐる状況に思いを致すのも、童話作家を題材として自らの作家になるまでのプロセスを記した本書を読んだからである。作家入門書は、たくさん読んでいるけれども、このようなわくわくするような面白さを持っていたのはなかなかお目にかかっていない。
特に、ユーモラスに書かれている作家になるまでの話と創作の方法は、ハウツーを書いたものというより、ひとつの創作作品として読めるものがある。
(講談社 本体一、六〇〇円)
フリーライター・山川修一

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