書評
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『アマテラスの誕生』

筑紫申真

先生に裏切られた小学生

 古代においては、世界の多くの国で太陽信仰が行われていた。太陽がもたらす恵みに感謝して祭る信仰はやがて太陽神信仰へと発展していく。

 日本でも、古代では各地方にあまねく太陽神が存在し、各豪族がそれを祭っていたという。本書は、その地方で祭られていた太陽神が壬申の乱を契機に、天皇家の祖神へと変ぼうしていく過程を、史料などを通じて浮き彫りにしたものである。

 天皇家の神を祭るようになって宗教的祭祀(さいし)の頂点に立った伊勢神宮がどのように成立し、そこにアマテラスが祭られるようになったのか、そのあたりの考察はミステリアスかつスリリングなものがある。

 著者によれば、もともと伊勢地方の豪族に祭られていた伊勢の大神が、大和朝廷の勢力が浸透するに従って天皇家の祖神となり、その祭祀をつかさどっていた一族も、その地位を実質的に大和から遣わされた官僚に奪われていったという。

 そして、新しい神となったアマテラスが主神として祭られるようになり、本来、男性神であったアマテラス大神が女性神に変ぼうしていったとしている。この女性神の誕生の背景には、みずから天皇制を確固とした体制としていった女帝の持統天皇の意思が反映していると指摘する。

 その成立過程を民俗学と日本神話研究の成果を用いて、ダイナミックに描き出している点で興味深いものがある。

(講談社学術文庫 本体九六〇円)



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