■米ハリケーン被害
カトリーナ来襲1ヵ月、課題と不安残す−ニューオーリンズ復興への道のり険しく◇いら立つ被災者「アジアの津波支援をあれだけアピールしてきた米国なのに、なぜ自分の国のことには機敏に動けないのかしら」。高さ約二メートルの浸水被害に遭ったというニューオーリンズ市の女性は、自宅から泥まみれの家具を汗だくになって運び出しながら、憤りの表情を見せた。電気やガスなどのライフラインは依然復旧の見通しが立たず、避難生活を続ける高齢の両親とも離れ離れで、いら立ちは募る一方だ。 市内の道路には、がれきを載せたトラックがひっきりなしに走る。向かう先は郊外の空き地に設けた仮保管場所で、最終的な処分が決まるまで無造作にがれきが山積みされるという。停電の影響で交通信号の多くは点灯せず、いつ事故が起きても不思議ではない。 ジャズの聖地として有名な中心街のフレンチクオーターも活気を失ったまま。ほとんどの店は入り口を施錠、通りには大量のごみが放置され、腐敗臭がたち込める。紳士服店を営むメイハー・セーラムさんは「商品の高級スーツは浸水で台無しになったが、一カ月後には営業を再開したい」と話す。家族総出で片付けに余念がないが、客足が遠のくのを心配している。 ◇寄せ集めの組織 カトリーナ来襲直後には、黒人を中心とする低所得者層の多くが浸水地帯に取り残されたことが問題視された。復旧の段階でも同じ構図が繰り返されようとしている。 リタの襲来で修復中の堤防が決壊し、再び冠水したのも同じ地域。現在も緊急車両を除き立ち入り禁止だ。この地域は、水が引いた場所でも道路に強風で倒れた大木が横たわり、切れた電線が垂れ下がるなど危険な状態で、他地域に比べ復旧作業が後回しにされているのは歴然としている。 復旧作業の総合調整に当たるのは連邦緊急事態管理庁(FEMA)だが、関係者は「FEMAという一つの組織で動いているというより、実態は寄せ集めだ」と批判する。復旧の実動部隊は地元の消防や陸軍工兵隊。フレンチクオーターの現場指揮所では他州の森林保全の担当官らが物資配給の調整事務に当たっていた。 このまま復旧のペースが上がらなければ、数十万人規模の被災者が避難生活の長期化を強いられるのは必至。仮設住宅のほか、雇用、子供の学校教育など、当面問題は尾を引きそうだ。 (ニューオーリンズ=米ルイジアナ州=時事)
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