■米ハリケーン被害
堤防決壊も想定内?ずさんな防災体制、高まる批判【ニューヨーク5日時事】米南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の災害は、米国の防災体制の意外なずさんさを浮き彫りにした。深刻な水害が懸念されながら、放置された治水対策。災害発生後の救援対応の遅れ−−。世界各地の災害救援を主導してきた超大国で、なぜこのような事態に発展したのか。政府に対する批判は高まるばかりだ。カトリーナの風速が時速百五十五マイル(秒速約六十九メートル)以上の「カテゴリー5」に拡大し、ルイジアナ州に接近した二十八日、同州ニューオーリンズ市当局は住民に強制避難命令を出した。カトリーナは一段階下のカテゴリー4になった二十九日に上陸したが、行き場のない貧困層らが市内に取り残された。 ミシシッピ川の河口に位置し、海抜より低地にあるニューオーリンズの水害の危険は、かねてから警告されていた。擂(す)り鉢状の市街地を守る堤防の対応強度は、カテゴリー3のハリケーンまで。被害が拡大したのは、この堤防が決壊したためだ。 連邦緊急事態管理庁(FEMA)のブラウン長官は米テレビに、同市での大規模災害を想定した防災計画を立案していたことを明らかにし、「予想した通りの被害になった」と述べた。FEMAは昨年七月、カテゴリー3のハリケーン直撃で、同市の堤防から水があふれ、最大六万人が死亡するとの被害想定を割り出していた。 しかし、チャートフ国土安全保障長官は、水位上昇による市街地への浸水は想定できても、堤防決壊までは予期できなかったと反論。今回は「息をのむほど衝撃的」な災害だったと強調する。一方、米政府がテロ対策に懸命なあまり、自然災害対策がおろそかになっているとの指摘もある。 「FEMA当局者は全員、特にブラウン長官は解雇すべきだ」−−。これまでにもニューオーリンズでの大規模水害の危険性を警告してきた地元紙タイムズ・ピカユーンは四日付の紙面で、大統領にあてた怒りの書簡を掲載した。「われわれの住民は救出されるだけの価値がある」。救援の遅れに対する被災地の怒りは簡単に収まりそうにない。
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