レバノン攻撃

ゲリラ戦に手焼くイスラエル軍

ヒズボラの背後にイラン−レバノン危機
人間の盾、神出鬼没の民兵組織

 世界屈指の軍事力を持つイスラエル軍がレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの抵抗に遭っている。七月十二日の侵攻開始以来間もなく一カ月を迎えるが、同軍の戦死者は約七十人に達する一方、集中的な空爆や地上での掃討作戦でもイスラエル北部を狙ったヒズボラのロケット弾攻撃を抑え切れていない。背景には、ヒズボラが強力な武器を大量貯蔵しているほか、巧みなゲリラ戦術を展開していることがある。

 ヒズボラは一九八二年にイスラエル軍のレバノン侵攻を受けて結成された民兵組織だが、レバノン軍の戦力を上回る。米シンクタンク、「グローバル・セキュリティー」によると、ヒズボラはカチューシャ・ロケット砲やイラン製の「ファジル3」「ファジル5」「ハイバル1」、六百キロの弾頭を搭載できる弾道ミサイル「ゼルザル」など計一万三千発のロケット弾・ミサイルを保有している。

 ヒズボラの戦闘員は中核となる要員が三百−四百人で、戦時には五千−一万人を組織できるとみられている。イランは同じシーア派という宗教・思想的な理由のほか、敵対する米国やイスラエルへの圧力を維持する「外交カード」として、ヒズボラに財政や軍事、戦術などの面から包括的な支援を行っているといわれる。

 ヒズボラは、徹底したゲリラ戦術を展開。民家にロケット弾発射装置を設置するなど「人間の盾」という手段もいとわない。地下トンネルを張り巡らし、武器は地下施設や民家に分散して貯蔵しており、イスラエル軍の追跡を困難にしている。アラブのテレビ局記者はDPA通信に「レバノン南部に二週間滞在して初めてヒズボラ戦闘員を目撃した。地面の穴から姿を見せ、すぐさま姿を消した」とその神出鬼没ぶりを証言する。

 ロイター通信によると、イスラエル軍准将は七日の記者会見で、ヒズボラが依然戦闘力を維持しており、壊滅するのは不可能と認めた。八日も百四十発以上のロケット弾をイスラエルに発射し、累計で三千発以上に達した。今回の衝突で、ヒズボラの戦闘員は十分な訓練を積み、組織的にも装備的にも強力な勢力であることが確認された格好だ。

(時事)



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