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平成16年10月25日

最終盤・米大統領選 (1)

 米大統領選挙は、十一月二日の投票まで残り十日足らずとなった。共和党現職のブッシュ大統領と民主党候補のケリー上院議員の争いはいまだ大接戦で、勝敗の行方は予断を許さない。選挙戦最終盤の主な激戦州の情勢、宗教票、黒人・マイノリティー票の動向などをリポートする。
(ワシントン・三笘義雄)
フロリダ州

中傷合戦がエスカレート

カギを握るヒスパニック票

 ブッシュ陣営が二十二日にスタートさせたテレビCM。深い森の中に群れる不気味な狼(テロリスト)の映像を背景にナレーションが流れる。

 「ますます世界が危険になる中、米国への最初のテロ攻撃の後、ジョン・ケリーとリベラル派議員は米国の情報活動を大幅に削減するため票を投じた……(国防上の)弱さは、米国に危害を与えようと狙っている連中を引き付ける――」

 CMは、ニューヨーク「貿易センタービル」爆破テロ発生の翌年(一九九四年)、ケリー氏が上院に提出した情報活動費削減案を批判。同氏の“テロ軽視”のスタンスを印象付けながら、“戦時の大統領”候補としての資質に疑問を投げ掛けている。

 これに民主党サイドは直ちに反撃。民主党全国委員会がつくったCMは、頭が地面に埋まって身動きがとれず立ち尽くしているダチョウ(ブッシュ氏)の上空をワシが悠々と舞っている。そしてナレーションが「試練の時、われわれは再び(状況を見渡せる)ワシになるべきではないか」と問い掛ける。民主党全国委員会のマコーリフ委員長によると、「イラク、経済、急上昇する健康保険費など、ブッシュ氏は自らの誤った選択を認めることを拒んでいる」とのメッセージが込められている。

 選挙戦が最終盤に差し掛かる中、ブッシュ、ケリー両陣営の中傷合戦は激しさを増すばかりだ。

 ブッシュ陣営はここにきて改めて、“得意”の「テロ対策」に焦点を絞って支持を訴えている。

 一方のケリー陣営は、ブッシュ政権のイラク政策批判に加え、「米国のための新たなスタート」のスローガンを掲げながら、雇用や福祉の充実など“前向き”なメッセージを送る戦略だ。

 全国レベルで行った各社の世論調査では現在、ブッシュ氏がケリー氏を3ポイント前後リードする傾向が表れている。だが、選挙戦が最終局面を迎える中、両候補が互角の争いをしている“激戦州”の情勢に注目が集まっている。

 米大統領選は、州ごとに割り当てられている“大統領選挙人”を各候補が奪い合い、総数五百三十八の過半数(二百七十)を集めた候補が“勝者”となる。各州で最も多く得票した候補がすべての選挙人を獲得する“勝者総取り”方式が特徴だ(一部の州を除く)。

 十州弱ある激戦州の中でも、選挙人数が「二十七」で最多のフロリダ州は、オハイオ(選挙人二十)、ペンシルベニア(同二十一)などと並んで最も注目されている州の一つ。両候補ともそこを死守するために何度となく遊説に訪れてきた。

 同州は四年前の選挙で、ブッシュ氏が民主党候補のゴア前副大統領にわずか五百三十七票差で勝利。投票日から一カ月以上たった後、票の再集計を経て勝敗が決着した“因縁”の地だ。共和、民主両陣営にとって勝利への思いはひときわ強いといえる。

 先週末に発表された最新の世論調査(クウイニピアク大学調べ)では、ブッシュ氏が48%でケリー氏の47%を1ポイントリード。いまだにデッドヒートが続いているが、最近十回の世論調査のうちブッシュ氏が七回、ケリー氏が二回、それぞれ“勝利”しており、ブッシュ氏がやや優勢といった状況だ。

 両陣営は現在、同州で約二割を占めるヒスパニック系住民の支持拡大に重点を置いているもようだ。そのうちの大部分を占めるキューバ系移民は「ブッシュ支持」が優勢だが、人口が増加傾向にあるそれ以外のヒスパニック系では、支持が分散している。

 今回の選挙では、ヒスパニック系投票者数が四年前より約十五万人増加するとの予測もあり、ヒスパニック票の行方が勝敗のカギを握るものとみられている。


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