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平成16年4月5日

改憲直言(1)

第一部・有識者に聞く

 国の基本法である憲法を改正すべし、との声が高まっている。自民党と民主党は独自の改憲案を作る意向を示し、公明党も前向きな議論を開始した。そこで、改憲の意義やどう改正するのかなどについて、有識者と国会議員に聞いた。
駒澤大学副学長 竹花 光範氏(上)

天皇は元首と明確化を/まず国の在り方を論じよ

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たけはな・みつのり 昭和18年生まれ。早稲田大学大学院修了。駒澤大学法学部教授兼同大学副学長。著書に『憲法改正の法理と手続』『アメリカ憲法入門』など。憲法改正私案「新日本国憲法試案」を収録した『憲法改正論への招待』(成文堂)など。
 ――各党が改憲案策定作業を進めている動きをどう見るか。

 歓迎すべきことだろう。だが、時流に乗り遅れてはいけないという感じで、われもわれもというところがあるように思う。変に結論を急ぎ過ぎてもいけない。

 ――政界での改憲論議を見て、どのような提言をしたいと考えるか。

 やはり国の在り方、そこをはっきり押さえていかないといけない。特に、いわゆる「天皇制」へのスタンスをはっきりさせるべきだと思う。

 従来の改憲論はそこを抜いてしまって、もっぱら九条をめぐる議論になっていた。九条も確かに問題をはらんだ規定で、全面的に書き直した方がいいだろう。だが、どういう国を守るのか。そういう大前提の部分を後回しにしている感じがする。

 前文では、わが国がどういう国是、歴史の国なのか、今後どういう方向に進もうとしているのか、ということを示す必要があるのではないか。

 それから、当然全面改正するならば、現行の日本国憲法との関係に言及する必要があると思う。日本国憲法をどういうふうに総括するのか。その辺のところもほとんど議論されていない。

 ――国の在り方をめぐる規定で、現行憲法にはどのような問題点があるか。

 領域、国民、主権は国家の三要素といわれるが、国民たる要件についても憲法ははっきり規定していない。全部法律に委ねている。領域についても憲法に規定はない。

 領域、国民を一つの国家として束ねるのが主権だが、その束ね方が問題だ。その束ねの要として日本という国は伝統的に天皇を頂いてきた。そこのところを憲法にどのように盛り込むのか。

 ――天皇の規定で問題点は何か。

 現憲法第一条でいう「象徴」(日本国の象徴であり日本国民統合の象徴)という表現は言い得て妙だと思う。ただ、これは法的な概念ではない。憲法は法だから、やはり法的な概念を用いて天皇を位置付けておく必要があると思う。元首であるのかないのか、そこがポイントになってくるのではないか。

 ――憲法には「元首」という明文がないため、国家元首について議論があるところだが。

 元首が誰であるかと明記がないから解釈の問題になってしまい、いろいろな解釈が出てくる。もちろん天皇元首説もあるが、従来、むしろ少数説だったといってよい。内閣説とか内閣総理大臣説が有力で、そのほか、国会議長が元首であるとか、国民が元首であるとか、元首不在説を唱える人もいたりする。

 そのためだろうが、改憲案を策定するに際しても、元首の定めをどうするかが不明確である。場合によっては総理大臣元首説に立って新しい憲法が作られないとは言い切れないだろう。

 国際法上、主権国家の場合はその国家を外に向かって代表する国家機関というものが必要になってくる。一言で言えば大使、公使の接受権を有する機関ということだ。そのような機関が実は元首だ。国内的にどういう権能を有するかということは特に問題ではない。現に各国の憲法を調べてみても、元首とされている機関はいずれもこの接受権を持っている。

 日本国憲法の場合も、第七条九号に天皇の国事行為の一つとして大使・公使を接受するとある。現在でも天皇は日本国の元首だということが言えるわけだが、そのように憲法を読まない人たちが少なくない。

 ――国の元首が誰か解釈が分かれるような例は海外にないのでは。

 ないだろう。そこだけ取り上げてもいかに日本国憲法がおかしな憲法かということだ。

(聞き手=窪田伸雄)


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