
疑惑施設は1000カ所以上「抜き打ち」で隠ぺい許さず宮殿立ち入りも焦点・イラク査察イラクでの大量破壊兵器査察は、膨大な数の疑惑施設が対象となる。イラク側の隠ぺい、妨害を避けるため、査察は事前通告なしで行われ、対象施設のリストは機密事項。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長によれば、対象は約七百カ所だが、米紙の報道では候補施設は千カ所を超える。 英政府や米中央情報局(CIA)が最近公表したイラクの大量破壊兵器開発に関する報告書を突き合わせると、疑惑の極めて濃い幾つかの重点施設が浮かび上がってくる。 ◇化学兵器 両報告によれば、イラクは現在も、マスタードガスやサリン、サリンよりさらに猛毒のサイクロサリン、VXガスなどを使った化学兵器の製造能力を持つ。 首都バグダッド西方のファルジャや同国北部のタルミーヤなどにこれら化学兵器関連の主要な疑惑施設があるとみられている。 ◇生物兵器 英政府文書は「イラクは生物兵器転用物質の製造を続けてきた」とし、CIA報告書は「合法的なワクチン、殺虫剤製造プラントを早急に生物戦用に転用する能力があり、既にそれを実行したかもしれない」と指摘している。 米国を震かんさせた炭疽(たんそ)菌、重い中毒症状を引き起こすボツリヌス菌、発がん性のあるアフラトキシン、猛毒たんぱく質のリシンなどだ。重要疑惑施設は化学兵器と同じファルジャのほか、バグダッド南方のアルダウラ、同西方のアマリヤなどに点在するとされる。 ◇核・弾道ミサイル 核兵器については、イラクが核分裂性物質を入手できれば「一年以内に核兵器生産が可能」(CIA報告書)という。米紙報道では、バグダッド南西のアルフラトや同南方のトゥワイサの施設が疑われている。 化学・生物・核弾頭を運搬する弾道ミサイルは「推定射程六百五十キロのアル・フセインを二十基温存、射程千キロ超のミサイル開発に着手済み」(英政府文書)とされる。 ◇大統領施設 査察団は今回、安保理決議に基づき、宮殿など大統領関連施設に立ち入る。イラクはこれまで、「国家主権の象徴」として立ち入りを阻んできただけに、焦点の一つとなる。 査察団はバグダッドや北部のモスル、ティクリットなどにある八施設を対象に、来年一月下旬の安保理への最初の報告期限までに少なくとも一カ所には査察に入るとみられている。(カイロ時事)
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