平成20年5月23日

オバマ氏、本選挙モードに−民主党

どう幕引くクリントン氏

 米大統領選の民主党候補指名争いで、バラク・オバマ上院議員の一般代議員獲得数が過半数に達し、同氏は指名に大きく近づいた。オバマ氏は十一月の本選挙勝利に狙いを定め、共和党の指名が確定したマケイン上院議員に対する闘志を燃やしている。一方、敗色が一段と濃厚になったヒラリー・クリントン上院議員は、党内の亀裂が深まる中でどう「幕引き」を図るのかが注目される。

 ◇マケイン氏に敵意むき出し

 「クリントン」二回、「マケイン」七回。これはオバマ氏が二十日夜に行った事実上の勝利宣言で言及した回数だ。クリントン氏については、本選挙での協力をにらみ、「意見が合わないことも多かったが、勇気と忍耐強さをたたえたい」と賛辞を述べたのに対し、マケイン氏には「ブッシュ大統領と政策は同じ」と敵意をむき出しにした。

 オバマ氏を支持するアイオワ州在住のデニス・サックランドさんは「ブッシュ政権の七年にうんざりしている。イラク戦争や富裕層減税をそっくり継承しようとしているマケイン氏にオバマ氏は勝てると思う」と期待を込める。

 ブルッキングズ研究所のトーマス・マン上級研究員も「イラク戦争、景気後退、ブッシュ大統領の不人気は共和党の三重苦であり、オバマ氏には追い風だ」と認める。ただ、「人種、価値観、経験不足への懸念から、支持に二の足を踏む人もかなりいるだろう」と話す。

 オバマ氏が本選挙でマケイン氏を倒すには、クリントン氏との激しい指名争いで露呈した弱点の克服が不可欠。最後まで切り崩せなかった白人労働者層の取り込みや、クリントン氏が制したカリフォルニアなどの大規模州、共和、民主両党のどちらにも転ぶ可能性があるオハイオなどの浮動州(スイング・ステート)で勝つための戦略づくりは重要課題となる。

 オバマ氏は、マケイン氏とブッシュ大統領を同列視することで、大統領に批判的な無党派や共和党支持層も取り込む計算だが、共和党筋はこれに異を唱える。「マケイン氏は地球温暖化対策やテロ容疑者の拷問禁止などで典型的な保守派とは一線を画している。本選挙は『変革』対『変革』の争いとなる」。

 ◇「惜敗」演出に腐心?

 「現代の大統領選史上、今回は激戦中の激戦だ」。クリントン氏は二十日、一勝を挙げたケンタッキー州での演説で、こう強調した。「もう逆転は無理」「実質的に勝負はついた」との見方がメディアや専門家の間で広がる中、表向きは徹底抗戦の旗を掲げつつも、自身と支持者が傷つかない形で軟着陸できるよう、「惜敗」の演出に腐心しているようにも見える。

 クリントン氏は最近のテレビインタビューで、オバマ氏が指名を獲得した場合に自らの支持者が本選挙でマケイン氏に投票することは「大変な間違い」と明言。オバマ氏が全代議員の過半数を得れば、党の結束を優先してオバマ氏の支援に回るのではないかとの楽観的な観測も出ている。

 しかし、ケンタッキー州予備選の出口調査では、クリントン氏に投票した人のうち、本選挙でオバマ氏に投票すると答えたのは約三割。また、クリントン氏を支持する女性の元副大統領候補、フェラーロ元下院議員がオバマ氏を「性差別主義者」と公然と批判するなど、すんなりと党の結束を取り戻せるかどうかは不透明だ。

(デモイン=米アイオワ州=時事)


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