東南アで連携するイスラム過激派

謎多いジェマ・イスラミア

指導者逮捕もテロ捜査難航・インドネシア

 外国人観光客を中心に多数の死傷者を出した十月十二日のインドネシア・バリ島爆弾テロ事件を受けて、東南アジアで活動を活発化させるイスラム過激派網への懸念が高まっている。インドネシア政府は爆弾テロ発生から一週間後に、過激派組織ジェマ・イスラミアの指導者アブ・バカル・バシル師(64)を逮捕した。しかし、治安当局は同組織とテロ事件との関係を解きほぐせず、捜査は難航している。東南アジアで連携しているとされるイスラム過激派網の実態を探った。

 ◇統一国家建設狙う

 ジェマ・イスラミアの存在が明るみに出たのは、シンガポール政府が昨年末、国内の米関連施設へのテロを計画したとして過激派十三人を逮捕してから。同国内務省は逮捕者を同組織のメンバーとし、「ジェマ・イスラミアは東南アジアに統一イスラム国家建設を目指す組織」とした。

 フィリピンやマレーシアでメンバーの摘発が続く一方で、フィリピンのモロ・イスラム解放戦線(MILF)やタイ南部のイスラム過激派との連携、テロ組織アルカイダとの関係も指摘されている。

 国連はバリ島爆弾テロ事件後、ジェマ・イスラミアを国際テロ組織と認定。しかし、指導部の存在や拠点、資金の調達方法など組織の実態は明らかでない。同組織の指導者とされるバシル師は、組織の存在そのものを否定している。

 ブリュッセルに本部を置く非政府組織(NGO)「国際危機管理グループ(ICG)」によれば、バシル師は青年活動家時代、インドネシアで一九五○年代に盛んだったイスラム国家建設運動「ダルル・イスラム」の影響を受けた。運動は七○年代に弾圧されたものの、後継組織として「ジェマ・イスラミア」の名前が登場する。

 ただ、この名称は活動の総称の意味合いもあり、組織として明確に認定されていない。バシル師は八五年、マレーシアに出国し、運動の対象がインドネシアから東南アジア全体に拡大されたとみられている。

 ◇根が深いバリ島事件

 捜査当局によれば、バリ島のテロ事件で逮捕されたインドネシア人のアムロジ容疑者(40)はマレーシアやフィリピンへの渡航歴があり、バシル師とも親交が深いことを認めている。

 そこで、事件とジェマ・イスラミアの関係が焦点になるわけだが、捜査当局はこれまで、「容疑者が組織のメンバーとの証拠はない」と強調。「バシル師の反米思想に影響を受けたのだろうが、それだけかもしれない」(捜査当局者)からだ。

 脈々と続くイスラム国家建設の流れにかかわった無数の人間と組織。そうした動きの全体がジェマ・イスラミアの輪郭だとすれば、テロ事件の根はあまりに深い。(クタ=インドネシア・バリ島=時事)



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