2011年3月28日
極東情勢と日本の安全保障
英国王立防衛問題研究所 ジョン・ヘミングス研究員に聞く(上)
中国が尖閣諸島へ進出する意図をあからさまにしている一方、ロシアは最近北方領土への軍備強化計画を発表した。また、北朝鮮によるミサイル攻撃の潜在的脅威も続いている。日本の国防体制を揺るがすこれらの非常事態にいかに対処すべきか。英国王立統合軍防衛安保問題研究所(RUSI)のジョン・ヘミングス研究員に聞いた。
(聞き手=ロンドン・行天慎二)
尖閣周辺の防空体制確立を
プロフィル 2007年11月からRUSIの国際安全保障研究部門アナリスト。特に、日米同盟、中国、北朝鮮、核拡散問題などが専門。カーディフ大学卒業後、ロンドン大学キングス・カレッジで国際平和安全保障研究の修士号を得る。米国戦略国際問題研究所(CSIS)の笹川平和財団(SPF)プログラム特別研究員。日本に6年間住んだ経験を持つ。
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――中国の軍事拡張主義が露骨になり、周辺諸国は非常に警戒している。
現在の日本の防衛大綱指針は安全保障への関心の重点を北から南へ移したが、正しいと思う。ロシアが北方領土問題で駆け引きをしているが、正直なところロシアは重大な脅威ではなくなっている。国防産業は衰退し、石油・天然ガス収入依存の国家でしかなく、隆盛している中国とは違う。 これに対し中国は拡張し支配しようとしている。尖閣諸島をめぐる日本との衝突を通じてそうした兆候を明らかに示している。昨年9月の中国漁船衝突問題以降、日本側の観点から見て中国は一寸の譲歩さえ拒絶している。
――中国は将来、西太平洋を支配する戦略を抱いているとされるが。中国に対外協調路線はあり得ないのか。
中国政府系新聞のグローバル・タイムズは今月10日の社説で、船長を逮捕することによって日本側が一連の衝突を始めた、と書いている。米国の研究者から聞いたが、中国政府の現在の(外交)姿勢を問題視する中国の学者たちは当局からにらまれている。中国国内では日本側の観点から論議する余地はない。
中国の軍国主義の高まりはゆっくりだが、起きている。リスクが高くない限り、外に向かって押し出て行くだろう。
――日本は尖閣諸島での本格的衝突を防ぐためにはどうすべきか。
島は海と空から攻撃を受けやすいので、尖閣諸島とその周辺に防空システムがあることが決定的なカギになると思う。中国軍が島を占領するとなると直接的対決になるが、島に誰もいなければ占領は流血なしに簡単になされるので一定の小部隊がいる必要がある。
だが、強調されるべきは空軍と海軍による防衛だ。柔軟に移動しやすい潜水艦や飛行機、米軍との緊密な連携が必要だ。
クリントン米国務長官が尖閣諸島は日米同盟の適用内にあると発表したが、力強い声明だと受け止められるべきだ。防衛大綱指針で潜水艦配備を強調し、F15に代わる新鋭戦闘機を探しているのは正しい方向だ。防衛力とその基礎である防衛産業をもっと強化すべきだ。