願い込めて「愛子さま」

敬愛されるプリンセスに

「かわいがられる」「象徴的」

 新世紀プリンセスは愛子さま−。皇太子ご夫妻のお子さまの命名の儀が七日午前、厳かに行われた。宮中で古式ゆかしく進む儀式。最初の女性天皇をたたえる日本書紀の一節が流れ、弓の音が鳴り響く。「敬宮愛子内親王(としのみや・あいこ・ないしんのう)」。雅子さまが妊娠中から、ご夫妻二人で考えられてきた。「人を愛し、敬う心を」「人々から敬愛されるように」。お健やかな成長を願う親しみやすいお名前に、師走の街も沸いた。

 「仲間がもっと増えるかも?」。皇太子ご夫妻のお子さまが愛子さまと命名されたことで、全国で活躍する「愛子さん」たちからは喜びや歓迎の声が聞かれた。

 福岡市城南区の声楽家で福岡教育大講師の杉本愛子さん(51)は外出先から帰り、母親から「同じ名前だよ」と聞かされた。「うれしいですね」と張りのある声を弾ませる。「何歳になってもかわいがられる名前。私も得をしました」と笑いながら、「音楽を愛される女性になり、ご一家で演奏会をされるようになれば」と期待を込めた。

 東京都渋谷区で四人の女性と設計事務所を開く一級建築士原田愛子さん(52)は午後五時に事務所に戻り、「『あらら』と驚いた」。原田さんは「愛という言葉は女性にとって象徴的な言葉」とした上で、「あやかり名付けで、もっと『愛子さん』の仲間が増えるでしょうね」と語った。

 「随分ポピュラーな名前を付けられるのだなと思った」と驚くのは大阪市福島区の宝石デザイナー北川愛子さん(53)。「人に覚えてもらいやすい名前。絶対損はしません」と太鼓判を押す。北川さんは今年、「愛」をテーマにピンク色の宝石を発表してきた。「世の中暗いことばかり。温かいものを感じさせようとテーマにしたが、偶然にびっくり」とうれしそうに話した。

王道を行くお名前の付け方

 作家の神津カンナさんの話 お待ち望みの子だったというお気持ちがよく表れている。秋篠宮家の眞子さま、佳子さまの命名は、「子」の付くお名前ということを踏まえながらも、現代的なお名前を考えられたと思うが、新しい世紀になって、王道を行くお名前を付けられたという感じがする。わたしの周囲でも、一時は当て字を使った外国人風の赤ちゃんの名前がはやったが、このごろは少しずつ、古くからある名前が戻ってきた感じがする。愛子さまの影響で、「子」の付く名前がはやるのではないか。

同じ名前、大変うれしい

 「山野愛子美容室」創始者の孫で、山野美容専門学校校長の山野愛子ジェーンさんの話 同じ名前ということで、大変うれしい気分です。周囲から「よかったですね」と声を掛けられました。わたしは人相手の仕事をしていますが、お子様も将来は公務で、国内外の方々との交流を担われる身。「愛子」の名前の通り、人々を幸せな気分にさせられるような、すてきな方に成長されればと思います。


健やかな成長祈る「浴湯の儀」

響く日本書紀の一節、弦の音

最初の女性天皇たたえ

 流れる日本書紀の一節、鳴り響く弓の弦の音−。皇太子ご夫妻のお子さまの命名に先立ち、「浴湯(よくとう)の儀」は七日午前九時から、皇居内の宮内庁病院二階の部屋で、古式ゆかしく行われた。

 部屋は儀式のために白い幕で二つに仕切られた。片方の浴殿で、東宮女官がお子さまを、たらいで湯に漬けるしぐさをすると、もう一方の間で衣冠単(いかんひとえ)を身にまとった三人が所定の位置へ。

 読書(とくしょ)員の児玉幸多さん(91)=学習院大名誉教授=が、日本最初の女性天皇である推古天皇をたたえる日本書紀の一節を読んで文運を祈ると、鳴弦(めいげん)員の前田利祐さん(66)=宮内庁委嘱掌典=、徳川恒孝さん(61)=日本郵船副社長=の二人が「オーッ」と掛け声を上げ、弓の弦を引き鳴らして、魔よけの祈願をした。内親王なら二回という慣例に倣い、もう一回、読書、鳴弦の所作を繰り返した。

 児玉さんは日本中世史に通じ、皇太子さまご誕生の際にも読書員の控えを務めた。前田さんは旧加賀藩の前田家、徳川さんは旧将軍家の出身。関係者は二回リハーサルをして本番に臨んだ。

 宮内庁によると、浴湯の儀は千年以上前の儀式が原型。一時途絶えたが復活して、明治の末に宮中行事になったという。


あやかり名付け増えるかな

皇太子さまご誕生で「浩」トップ

「…子」の復活も赤ちゃん名前

 赤ちゃんの名付けは時代とともに変遷を重ねてきたが、皇室の影響を受ける傾向もうかがえる。かつては元号を意識した時代もあり、皇太子さま(浩宮さま)がお生まれになると、「浩」が最も多い名前になった。関係者はお子さまの名前にあやかった名付けや、最近は少なくなった女子の「…子」の復活を予測している。

 明治生命保険は一九八五年、保険加入者の生年ごとの名前調査を、大正時代までさかのぼって実施。その結果、男子では大正元年が「正一」、同二年が「正二」、昭和二年は「昭二」、同三年は「昭三」が最も多い名前だった。女子でも、大正二年は「正子」が一位。昭和二年から十四年までは「和子」が連続トップだった。しかし、昭和から平成になって、こうした顕著な例は見られなくなった。

 皇太子さまは一九六○年二月にご誕生。前年は八位だった「浩」が六○年から二年連続で一位になり、ベストテンには「浩一」「浩二」も並んだ。「浩」は六二年から六六年まで二位を維持した。

 妊婦向け雑誌「バルーン」(主婦の友社)編集部によると、今年の名付けランキングは、男子の一位が「駿(しゅん)」、女子が「葵(あおい)」。バブル期は男女不明の名前が流行したが、最近は「男らしく」「女らしく」が潮流という。

 お子さま命名を受け、編集部は「あやかり名付けが増えると思う。内親王さまの場合、名前をそのまま使うことも可能だが、一字を使うとか、音が同じで違う字を使うなどの工夫をするのでは」と分析する。

 皇室の慣例で「子」の字が使われたことで、今ではベストテンから外れることが多い「…子」についても、編集部は「増えるかもしれない」と予測。さらに、「雅子さまの姿を見て、年齢が高く、仕事で忙しい女性が出産に前向きになってくれれば」と期待している。

(時事)


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