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副反応被害無視の便益計算


予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(12)

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製薬会社・GSKの不祥事を一斉に報じる新聞紙面

 このほど、東京女子医大の非常勤講師が、英ワクチン・メーカー「グラクソスミスクライン(GSK)」の課長でありながら、それを隠し、子宮頸(けい)がんワクチンを接種することで、医療費が12億円軽減されるという論文を書いていたことが問題になり、新聞、テレビで報じられた。

 この問題に関して、GSKは「当時の社内ルールが明確でなかったが、社員であることは明らかにすべきだった」と述べつつ、論文(2009年9月発表)の内容に問題はなかった、としている。

 報道によると、これが「厚生労働省の委員会の資料になり、ワクチンを公的な助成のある国の定期接種の対象とする根拠の一つになった」(読売新聞12月12日付)という。

 しかし、この計算は、今回のような重篤な副反応については全く計算に入れていない、と言える。副反応により、多くの将来ある中高の女子生徒が身体の痛みや痙攣(けいれん)、記憶障害、計算障害を起こして勉強が手に付かないでいるのだ。

 神奈川県の中高一貫校に通っていた女子生徒(16)は、杖が手放せず学校にも思うように行けないため、この12月学校を退学した。

 いま、予備校生(19)の子は、弁護士を目指していたが、接種後、体調が悪化したため大学受験を一旦断念。予備校通いをしていたが、最近は通学が難しくなったという。

 こうした将来ある女生徒のワクチン接種での副反応によるダメージは計り知れない。表面に出てこない副反応被害は少なくなく、またそれによって家族が巻き込まれている。

 ある母親は「セックスをする可能性があるから、ワクチンを打っておけばよい、という発想を見ただけで、打たせられないと思った」と指摘。

 性モラルの崩壊を招くリスクも全く計算に入っていない。子宮頸がんは、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因とされている。

 「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」の実行委員長を務める今野良自治医大附属さいたま医療センター教授も、先端医療についてのスライド講義のなかで、12歳女児にワクチンを接種させた場合、投資額に対して約2倍の便益が獲得できると結論している。

 子宮頸がんワクチンの費用が約210億円で、便益の約400億円を割って得られる数値だとしているが、補償費のみならず、計り知れない副反応被害が考慮されていないことは一目瞭然だ。

 便益計算を盛り込んだ今野氏の論文「HPVワクチンの有効性について」も、5月16日の厚労省ワクチン副反応検討部会の資料として提出された。

 6月、日野市議会の一般質問で「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」事務局長の池田利恵・日野市議は、この点を問題にした。

 厚労省の検討部会で配布された論文の脚注を調べれば、今野氏がGSKと米製薬会社(MSD)から研究費、旅費、会議の謝礼金を受けていることが分かることを訴えた。

 現在、高血圧治療薬「ディオバン」の論文データ改ざん問題がクローズアップされている。

 これと同様に、ワクチンの副反応問題を議論する厚労省の検討部会が、製薬会社の資金援助を受けた研究者の論文を無批判に資料配付している。その姿勢は厳しく問われよう。

(山本 彰)