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前健康局長の不都合な答弁貶める厚労省


予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(5)

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5月16日、厚労省ワクチン副反応検討部会の冒頭、あいさつする矢島鉄也健康局長(厚労省HPより)

 みんなの党「女性局」の勉強会が衆院第二議員会館で11月27日午後開かれ、講師の今野良自治医大附属さいたま医療センター教授による一通りの説明が終わると、質疑応答が始まった。

 世界保健機関(WHO)の威光を借りながら、子宮頸がんワクチンの安全性を説く今野教授の影響で、同会館地下2階のみんなの党会議室は、子宮頸がんワクチンの接種の積極的勧奨の再開もやむなしの雰囲気に覆われつつあった。

 だが、勉強会に地方議員として参加した青木かの東京都中央区議は、ワクチン一辺倒の今野医師の説明に率直な疑問を感じていた。

 なぜなら、3月28日、参議院厚生労働委員会で、薬剤師出身のはたともこ議員(生活の党)が、矢島鉄也厚生労働省健康局長に質問し、定期検診をしっかり行っていれば、高度異形成や上皮内がんの段階で発見することができ、100%完治するという言質を取っていたからだ。その根拠も日本産婦人科腫瘍学会のガイドラインで示されたものだった。

 青木氏は、はた議員の質問に関心を持ち、その勉強会にも参加して来た。

 はた議員は一方で、このワクチンは、がんリスクのあるヒトパピローマウイルス(HPV)16型、18型にだけ効果があるが、日本人の一般女性(18~85歳)で、この二つのHPVを保持している割合は併せて0・7%とわずかであることを確認。

 加えて、いったん体に入ったHPVでも、2年以内にその9割が自然消失し、それが持続感染して前がん病変の軽度異形成になっても90%は自然治癒すると指摘。従って、16、18型が中等度、高度異形成の前がん病変に至る割合は、0・007%となり、10万人中7人しかワクチン接種の効果がないと指摘していた。

矢島局長は、はた議員が質問でこれらの数字を確認する度に、根拠となる医学文献を明示しながら、その指摘が正しいと認めていた。

青木氏は、厚労省の副反応報告のデータをもとに、同ワクチンによって生じる重篤な副反応の割合が10万人に約28人であることを計算し、「予防効果よりリスクの方が相当高い」と中央区議会で訴えてきた。

 この点を質問したところ、勉強会に厚労省から出席していた宮本哲也健康局結核感染症課予防接種室長は、「『それは、はた理論です』と一笑に付していた」(青木氏)という。

宮本室長に確かめると、「はた理論というのは今野医師が言った」と否定。その上で、「国会答弁では質問されたことにだけ答えるのがルール」として、事実上、答弁を繋(つな)げて、はた理論が出来上がった、との見方を示した。

 しかし、矢島局長が、質問に答えるだけで、その結果事実と違う理論ができるのを放置していたとすれば、これほど無責任なことはない。その上、はた議員と矢島局長とのほぼ同じ質疑が5月20日の参議院決算委員会で、テレビ放映のなか行われているのだ。

矢島局長は退官し、今参院選で、はた議員は議席を確保できなかった。当事者が国会に姿を現さなくなる中、矢島健康局長の実直な答弁が貶(おとし)められ始めている。

 (山本 彰)