世界日報 Web版

憲法論議、改正急いで「国難」に備えよ


 新年が明けた。亥年である。5月には元号が改まり、新しい御代が始まる。変化の年だろう。希望の年にしたいと念じつつ、亥(い)年は「国難」に備えよとの格言を思い浮かべる。関東大震災も阪神淡路大震災も亥年だったからだ。

 安全保障環境が激変

 わが国の最大の国難だった先の大戦からすでに70有余年。世界を見れば「戦後秩序」が音を立てて崩れている。東西冷戦、ポスト冷戦を経て、米国主導の国際秩序が揺らぎ、共産党独裁の中国が台頭して東アジア・太平洋の覇権を握ろうとしている。北東アジアの安全保障環境は激変し、わが国の安全が脅かされつつある。

 国内に眼(め)を転ずれば、著しい人口減少もまた、国難と呼んでよい。国家の基礎となる国民が減っていく。平成の初めに集落の維持が困難な「限界集落」が話題になったが、それが「限界自治体」へと広がる。気候変動は予期せぬ大災害をもたらし、安寧な生活を危機に陥れる。南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の足音も近づいている。

 国難は避け難い。ならば、どうするのか。備えるしかない。安保環境の変化には「抑止力」で平和を守る。人口減には生存の基盤たる家族を支え、子供たちが安心して育つ環境を整える。災害には防災のみならず、発生後に被害を減らす減災で臨む。昭和、平成そして新時代へと国家も変革を重ね、国難を乗り越えねばならない。

 現行憲法はそれに耐えられるだろうか。否、「新しい酒は新しい革袋に」と古来、教える。戦後体制では国難にとうてい向かえない。だから憲法を改める。そこが憲法問題の要点だろう。

 ところが、改憲を発議する国会の憲法論議は低調を極める。昨年の臨時国会では、憲法審査会がほとんど開かれなかった。立憲民主党など野党は議論のテーブルにすら着かなかった。これでは「憲政の常道」を貶(おとし)め、政権交代の資格すら疑わせる。

 今月召集される通常国会ではまず国民投票法改正案の成立を期すべきだ。同案は駅やショッピングセンターに投票所を設置するなど投票環境を改善する。テレビCMの規制をめぐって紛糾しているが、憲法審査会で意見を交わし、発議環境を早急に整えるべきだ。

 自民党は「改憲4項目」の提案を目指す。自衛隊の明記と緊急事態条項創設、参院選の合区解消、教育の充実の4点だ。自衛隊については安保環境の変化から役割がおのずと高まっている。大規模災害への救援活動も増え、防衛予算は5兆円を超す。それにもかかわらず自衛隊違憲論が未(いま)だ根強い。自衛隊員が胸を張って任務を遂行できるようにすべきだ。

 緊急事態条項では緊急事態を大地震などの大災害に絞り、国会が機能しない場合に政府が政令で対応し、国会議員の任期を延長する。だが、有事を含めないのは疑問だ。大災害時には非常措置を取る必要があり、国民の権利を一時的に停止することも考慮すべきだ。

 真摯に論じる年としたい

 そんな論議も深め、国難をいかに克服するか、憲法の在り方を真摯(しんし)に論じる年としたい。