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プーチン氏発言、到底受け入れられない提案だ


 ロシアのプーチン大統領はウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」の全体会合で、日本とロシアの平和条約について「年末までにいかなる前提条件もなしで締結しよう」と提案した。

 プーチン氏が平和条約締結の期限に言及したのは初めてで、この提案は領土返還を事実上棚上げする意図を明らかにしたものだ。北方領土の帰属問題を解決して平和条約を締結するというのが日本の立場であり、到底受け入れられるものではない。

 「年内に平和条約締結を」

 プーチン氏は平和条約締結後に北方領土の色丹島と歯舞群島の引き渡しをうたった1956年の日ソ共同宣言に言及して「日本が履行を拒否した。その結果、戦後70年にわたって交渉が続いている」と従来の主張を述べた。

 そして「安倍晋三首相はアプローチを変えようと言った。ぜひそうしたい」と、近くに座っていた首相に語り掛けるように発言した上でこの提案を明らかにした。首相の発言に応じたアイデアだと言いたいようだ。

 北方領土は日本固有の領土である。しかしロシアが戦後73年間、不法占拠を続けてきた。領土返還を棚上げしようというプーチン氏の姿勢は決して容認できない。現状のままで平和条約を締結すれば、返還はさらに遠のくだろう。

 菅義偉官房長官が「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する基本方針の下、引き続き粘り強く交渉する。この姿勢に変わりはない」と述べ、従来の政府方針を堅持する姿勢を強調したのは当然だろう。

 この全体会合に先立ち、首相とプーチン氏は会談を行っている。菅長官によれば、首脳会談では「無条件」との発言はなかった。プーチン氏は領土問題について「すぐに解決すると考えるのは単純過ぎる」と述べたと言われる。

 プーチン氏の提案は、ロシア側に領土問題を交渉する意図が皆無であることを明示したものだ。首脳会談では北方四島での共同経済活動について、海産物養殖など5項目の具体的内容と進め方で一致したというが、こうした取り組みで両国間の信頼醸成を図り、領土返還の実現につなげられるのか、はなはだ心もとない。

 ロシアは北方領土を極東の軍事的要衝と位置付け、地対艦ミサイルなどを配備している。8月にロシア空軍のスホイ35S戦闘機が択捉島に試験配備された際には、日本政府の抗議に「(北方領土は)ロシア領だ。いかなる抗議も根拠がない」(上院議員)と反発した。不法占拠の既成事実化は許されない。

 一方、ロシアは2016年の米大統領選への干渉問題や英国での神経剤襲撃事件などをめぐって対米関係が冷却化している。 プーチン氏の提案は、米国の同盟国である日本を牽制(けんせい)したものだとみることもできる。プーチン氏が領土返還後の米軍駐留を警戒していることも背景にあるようだ。

 困難でも領土返還実現を

 日本はロシアの揺さぶりに惑わされてはならない。どのような困難があっても、北方領土返還を実現する必要がある。