世界日報 Web版

自民党総裁選、最大の論点は憲法改正だ


 自民党総裁選の論戦がスタートした。事実上の首相選びとなる選挙である。立候補した安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長は、明確な国家ビジョンや骨太な政策を掲げて論じ合ってほしい。

6年ぶりとなる選挙戦

 首相は野党時代の2012年総裁選に勝利し、15年の前回は無投票で再選された。選挙戦は6年ぶりとなる。

 今回の総裁選は憲法改正の進め方や首相の政権運営に対する評価が主な争点で、国会議員票、地方票各405票の計810票で争われる。7日に告示されたが、北海道地震発生のため、所見発表演説会や共同記者会見は10日に行われた。

 最大の論点は、自民党結党以来の党是でもある改憲だ。首相は9条に自衛隊を明記する必要性を改めて強調し、秋の臨時国会に党改憲案を提出する意向を示した。

 これに対し、石破氏は「(参院選挙区の)合区の解消、緊急事態条項が喫緊のものだ」との認識を表明。9条については「国民の理解のないまま国民投票にかけてはいけない」と述べ、慎重な議論が必要とした。

 だが、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。北朝鮮は6月の米朝首脳会談後も核物質の生産や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の製造を続け、非核化に向けた動きは一向に見えてこない。沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張する中国の公船も尖閣周辺で領海侵入を繰り返している。

 トランプ米政権が「米国第一」を掲げる中、自衛隊の役割は一層拡大することが予想される。現行の9条で、こうした状況に十分に対処できるのか。

 石破氏は従来、首相の9条改正案では戦力不保持を定めた2項と自衛隊の根拠規定が矛盾しかねないとして2項削除を持論としてきた。日本の安保について定めた9条の改正も大いに論じ合うべきだ。総裁選を改憲の機運を高めるための機会としなければならない。

 来年10月に予定される消費税率10%への引き上げをめぐっては、首相が「予定通り」と強調。これに関連して「全ての世代が安心できる社会保障制度へ3年で改革を断行する」との方針を明らかにした。少子高齢化が進む中、社会保障制度の見直しは急務だ。

 しかし増税を実施するのであれば、その悪影響に耐え得るだけの強い経済を実現する必要がある。賃上げを消費拡大につなげる経済の好循環形成にどのように道筋を付けるかを論じなければならない。

 一方、石破氏は「地方、中小企業、農林水産業の伸びしろを最大限伸ばす」と表明し、経済再生の核に地方創生を据える考えを示した。ただ安倍政権が地方創生を打ち出した後も、人口の東京一極集中は是正されていない。地方創生を軌道に乗せるための具体策が問われる。

分かりやすい議論を

 選挙期間中は首相のロシア訪問や北海道地震への対応などで論戦の機会は限られる。

 20日の投開票に向け、首相と石破氏は政策を競い合うとともに党員や国民に分かりやすい議論を展開する必要がある。