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日米首脳会談、非核化へ緊密連携維持せよ


 訪米した安倍晋三首相はトランプ大統領との会談で、史上初となる12日の米朝首脳会談に向けて非核化へ北朝鮮の具体的行動を引き出すまで制裁を解除しない考えで一致した。北朝鮮の非核化実現のため、日米両国は緊密な連携を維持すべきだ。

日朝会談を目指す首相

 首相は会談後に「トランプ氏は北朝鮮が行動するまで制裁を解除しないと言っている。日米は完全に一致している」と強調。完全、検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)実現へ具体的行動を取るまで圧力を維持する考えを示した。

 トランプ氏は、米朝首脳会談がうまくいかなかった場合には「交渉から立ち去る用意は十分できている」と述べた。北朝鮮が非核化で満足のいく回答を示さなければ交渉を打ち切る考えである。

 このほか、両首脳は米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)だけでなく、日本にとって直接の脅威である短・中距離ミサイルの廃棄を求めることでも一致した。米朝首脳会談を前に、こうした合意を示したことは重要だと言える。

 ただ、トランプ氏が朝鮮戦争(1950~53年)の終結合意に調印する可能性があると述べたことには懸念が残る。CVID実現の見通しが立たないうちに終結宣言を行えば、今後の非核化交渉で北朝鮮が在韓米軍撤退や米韓合同軍事演習の停止などを求めた場合、その主張の根拠を与えることにならないか。国際社会による制裁の緩和につながるとの見方もある。トランプ政権は慎重に検討すべきだ。

 拉致問題に関し、トランプ氏は「首相の望み通り、必ず北朝鮮と議論したい」と述べ、米朝会談で取り上げることを約束した。トランプ氏は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の最側近である金英哲党副委員長と会談した際、人権問題は議論しなかったため、日本側には不安が広がっていたが、首相が約束を取り付けたことの意義は大きい。

 首相は日朝首脳会談を目指す考えを表明。拉致・核・ミサイル問題を包括的に解決すれば、日朝平壌宣言に基づき、国交を正常化し、経済協力を行う用意があると語った。

 拉致問題は日本固有の懸案であり、最終的には首相が正恩氏と直接交渉しなければ解決できない。拉致被害者の家族は高齢化が進んでおり、一日も早く全被害者の帰国を実現することが求められる。しかし、それが簡単でないことも事実である。北朝鮮は「拉致問題は解決済み」との立場を崩していない。

 北朝鮮は先月、拘束していた米国人3人を解放した。拉致問題をめぐる日米の連携にくさびを打ち込む狙いだろう。首相はトランプ氏との連携維持に努める必要がある。

安易な合意を戒めよ

 米朝首脳会談は1回だけでは終わらないだろう。トランプ氏は「最大限の圧力という言葉は使いたくない」と北朝鮮に対する融和姿勢を示している。

 首相は、これまで築き上げてきたトランプ氏との強い信頼関係をテコに、米朝会談に前のめりのトランプ氏が正恩氏と安易な合意をしないように説く役割も求められている。