国民投票法改正、投票機会拡大へ早期実現を


 自民、公明両党は衆院憲法審査会幹事会で憲法改正手続きを定めた国民投票法の改正案を提示し、共産、社民両党を除く各党が基本的に賛同する立場を示した。改正されれば2014年に続いて2度目となる。前回の改正では投票年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた。有権者の投票機会拡大のため、今回の改正も早期に実現する必要がある。

「共通投票所」設置可能に

 改正案は駅や大型商業施設で投票できる「共通投票所」の設置を可能にすることなどが柱。16年の公職選挙法改正の際に盛り込まれた内容を反映させたもので、このほかに①船舶乗組員による「洋上投票」の対象を実習船の学生に拡大②期日前投票の投票時間の弾力化③投票所への18歳未満の同伴容認――などを定めている。

 また、要介護の人に認められる郵便投票の対象範囲拡大も目指す。公選法、国民投票法ともに、現在は要介護5に限っているが、要介護4と3も認める方向で法改正を図る。

 自公と立憲民主、国民民主、日本維新の会の5党は改正案を29日に国会に共同提出する考えだ。国民投票は国会が発議した改憲原案への賛否を問うものであり、改憲には過半数の賛成が必要となる。有権者が自分の意思を示すための投票機会を広げることは重要だ。早期成立が求められる。

 一方、改憲に向けた論議は停滞している。今国会で衆院憲法審査会が開かれたのは1回のみで、国民民主の結党に伴う新幹事の選任を行って1分ほどで散会したという。

 こうした状況に陥っているのは、学校法人「森友学園」「加計学園」問題などをめぐる与野党対立の影響が大きいだろう。もちろん、政府の一連の不祥事を国会で追及して真相解明に努めることは大切だ。しかし、改憲論議と並行してできないわけではあるまい。

 現憲法が施行されてから70年以上が経過した。国内外の情勢の大きな変化で時代にそぐわなくなった条文も見られる。特に強引な海洋進出を進める中国や核を持つ北朝鮮の脅威が増大する中、9条の改正は待ったなしだと言えよう。

 安倍晋三首相は憲法記念日の3日に東京都内で開かれたフォーラムへのビデオメッセージで「憲法に自衛隊をしっかりと明記し、違憲論争に終止符を打たなければならない」と改めて改憲への強い意欲を表明した。

 首相は、自衛隊違憲論の生じる最大の原因として「憲法に防衛に関する規定が全く存在しないこと」を挙げた上で「そのことはわが国の安全の根幹に関わることであり、憲法改正の十分な理由になる」と強調した。国民の生命と財産を守るため、改憲を目指すのは当然だ。

 同じ日に立憲、旧民進、共産、社民の野党4党首は、護憲派の集会で安倍政権による憲法改正の阻止に向けて結束していく方針を示した。責任ある姿勢とは言えない。

改憲めぐる活発な議論を

 自民党は自衛隊明記など4項目の条文素案をまとめている。他の政党も改憲案を示して活発に議論すべきだ。