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国民民主党、安保法是認の民意無視するな


 民進党と希望の党の新党協議会は新党名を「国民民主党」として、5月上旬にも発足することで合意した。昨年の衆院選直前に分裂した民進党は、野党第1党になった立憲民主党と国民民主党との2党に勢力を二分するほか、一部保守系議員が小規模な新党結成を目指す新たな局面に入った。

違憲部分の撤回目指す

 国民民主党は綱領で「穏健保守からリベラルまでを包摂する中道改革政党をつくる」と中道改革派を展望。憲法9条に自衛隊を明記する憲法改正には「自衛権を行使できる限界を曖昧にしたまま、明記することは認めない」と自衛権の限界の明確化を重視している。

 また、安保法制については「違憲部分の白紙撤回」が盛り込まれた。「違憲部分」と解釈するのは、集団的自衛権行使の限定容認を受けた同法制の存立危機事態への対応になろう。

 国民民主党が政権を取った場合、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」事態の武器使用を認めない修正を加える可能性がある。

 しかし、希望の党では安保法制を認めた上で選挙に当選した議員らが、民進党に合流するために「違憲部分の白紙撤回」で合意して安保法制論議を蒸し返すのは、票を投じた有権者に不誠実だ。立憲民主党の党名の「立憲」は、安保法制を「違憲」と主張する「立憲主義」を意味している。安保法制をめぐる是非の対応が民進党分裂の一大要因だった。

 安保法制を認める希望の党と認めない立憲民主党とが昨年衆院選で民意を受け、それぞれの議会勢力を築いた。しかし、民進党は衆院選を戦っていない。政策を掲げて民意を受けた希望の党が、安保法制に関して民進党の主張と一致したことは民意を無視したものであり、両党合流による後退だと言える。

 もう一つの問題は共産党との共闘についてだ。日米安保条約に反対し、自衛隊の解消や将来の共産主義社会を党綱領で展望する共産党の政権参加は日本を危機に陥れる恐れがある。共産党は安保法制反対を端緒に大胆な選挙協力を打ち出して、2016年参院選の1人区で民進党議員を支援した。

 共産党は安保法制撤廃に向けて集団的自衛権行使を限定容認した閣議決定を取り消すために、衆院選で政権交代が起きた際には連立政権に加わることを表明している。このため「野党と市民の共闘」路線を掲げ、国会内や街頭での反政府運動を熱心に展開中だ。

 立憲民主党には旧社会党時代からの支援労組である自治労、日教組、私鉄総連などが支持表明し、来年参院選では候補者を擁立する。これらの労組は「総がかり行動」などの街頭運動で共産党と共闘し、立憲民主党を支える勢力になっている。

 現実的な中道改革路線を

 国民民主党の結党の意義は、このような左派と一線を画する現実的な中道改革派の野党勢力として頭角を現すことができるかに懸かっていると言えよう。