G7外相会合、北の非核化へ緊密な協力を


 先進7カ国(G7)外相会合がカナダのトロントで開かれ、北朝鮮が決定した核実験・大陸間弾道ミサイル(ICBM)試射の停止を「完全な非核化に向けた第一歩」と歓迎する共同声明を発表した。

 一方、北朝鮮に対する「最大限の圧力」を維持することで一致し、大量破壊兵器やミサイルの「完全かつ検証可能、不可逆的」な廃棄への関与を目標に掲げた。北朝鮮の非核化に向け、G7が結束した意義は大きい。

拉致の即時解決求める

 G7外相会合をめぐっては、27日の南北首脳会談、6月初旬までに行われる米朝首脳会談を控え、北朝鮮核問題への対応が焦点の一つとして注目されていた。会合では「北朝鮮と対話する米韓を支援する」と表明した。

 北朝鮮による核実験などの中止決定を受け、中国やロシアは対北朝鮮制裁の緩和に言及している。だが、北朝鮮は今回の決定で非核化には触れていない。それどころか「わが国家に対する核の脅威や核の挑発がない限り核兵器を絶対に使用せず」としている。

 これは、既に開発した核兵器は廃棄しないということではないのか。北朝鮮は日本を射程に入れる中・短距離弾道ミサイルの放棄にも触れていない。これではとても制裁緩和には応じられない。

 河野太郎外相は「(G7では)制裁を解除するということはそもそもない」と強調。「北朝鮮(への対応)に関してはG7で異論はない」と主張した。河野外相は、北朝鮮の非核化まで最大限の圧力を維持する方針に基づき、北朝鮮による「瀬取り」と呼ばれる洋上密輸などの制裁逃れへの対応についても各国に連携を呼び掛けた。G7各国の緊密な協力が求められる。

 拉致問題に関しては、共同声明に「即時解決を求める」との文言が盛り込まれた。トランプ米大統領も安倍晋三首相との日米首脳会談で、米朝首脳会談で「拉致問題を提起する」と述べた。G7をはじめとする国際社会は、北朝鮮に拉致被害者全員の即時帰国を迫っていかなければならない。

 共同声明は、シリアのアサド政権の化学兵器使用に対する米英仏の軍事行動について「シリア国民の苦痛を軽減するための全ての努力を完全に支持する」と明記。アサド政権を支援するロシアが、化学兵器使用に関する調査機関を設けるとの国連安全保障理事会の決議案に拒否権を行使したことに対しても「遺憾の意を表明する」とした。ロシアを非難するとともに「責任を果たすよう求める」としたのは当然だ。

 シリアでは、北朝鮮の技術支援を受けて製造された猛毒神経ガスのサリンが攻撃に使われた疑いがある。北朝鮮は約5000㌧に上る化学兵器を生産・保有しているとみられている。

大量破壊兵器使用許すな

 北朝鮮がこうした兵器を弾道ミサイルに搭載し、日本を攻撃することも懸念されている。日米首脳会談では、北朝鮮に核・ミサイルだけでなく、生物・化学兵器の放棄も求める方針で一致した。

 G7も大量破壊兵器の使用を許してはならない。