あす日米首脳会談、対北で非核化方針を再確認


TPP、シリアも議題に

 日米首脳会談が17、18日にフロリダ州パームビーチで開催される。安倍晋三首相とトランプ米大統領の首脳会談は3回目。会談では、北朝鮮の核問題が主要な議題となるほか、トランプ氏が復帰検討を指示した環太平洋連携協定(TPP)やシリア情勢などについても話し合う。

 今回の首脳会談は、先月トランプ氏が米朝首脳会談の提案を受け入れた直後、首相からの提案によって実現した。その背景には、北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐって日本を置き去りにしてトランプ氏が交渉を進めることへの危機感があったとみられる。

 次期国務長官に指名されているポンぺオ氏は、12日の指名公聴会で日本や韓国に対して核の傘を提供し続けるとする一方、「会談の目的は、米国に対する核の脅威に対処すること」とも発言した。

 こうしたことから、トランプ政権が北朝鮮との交渉の中で、本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発の凍結のみで妥協し、日本の安全保障を脅かす中距離、短距離ミサイルは容認するという懸念は拭えない。

 トランプ氏が今後どのように北朝鮮との交渉を進めようとしているのか不透明な中、日米が一致して、北朝鮮に対し非核化に向けた具体的な行動を求める方針を再確認することが求められる。

 拉致問題については、首相から米朝首脳会談で取り上げるように要請される見通しだ。トランプ氏は1月の一般教書演説で、北朝鮮で拘束され帰国後に死亡した米大学生オットー・ワームビアさんの家族や脱北者を招待するなど、北朝鮮の人権問題について厳しく非難してきた。今回、日米が北朝鮮の人権問題に連携して取り組む姿勢を改めて共有できるかも焦点となる。

 米国のTPPへの復帰検討については、これまでトランプ氏を説得してきた首相としては、歓迎すべき動きだ。

 ただ、トランプ氏はTPPについて「かなり良いものになったときにのみ復帰する」と条件を付け、日本との2国間貿易協定にも意欲を示している。

 トランプ政権が実施した鉄鋼・アルミニウムの輸入関税では、日本は米側に要求したにもかかわらず除外対象国とはならなかった。対日貿易赤字への不満を表明しているトランプ氏は、11月の中間選挙を見据えて、対象国からの除外と引き換えに日本に譲歩を求めてくることも考えられる。

(ワシントン山崎洋介)