安倍首相、9条改正に強い意欲


自民党大会「自衛隊違憲論争に終止符」

 自民党は25日、都内のホテルで第85回定期党大会を開いた。安倍晋三首相(党総裁)は演説で「いよいよ結党以来の課題である憲法改正に取り組む時が来た」と述べつつ、「憲法にしっかりと自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とう」と訴え、9条改正に向け強い意欲を示した。

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自民党大会で、万歳する安倍晋三首相(中央)ら=25日午前、都内のホテル(森啓造撮影)

 同党の憲法改正推進本部で、自衛隊、緊急事態、参院選「合区」解消、教育充実の4項目について党大会までの改正条文案作りを目指してきたが、自衛隊に関しては文案を一本化できなかった。首相はこれに関し「4項目について議論を重ねてきた。もちろん第9条においても改正案を取りまとめていく」とだけ言及。その一方で、自衛隊をめぐる「違憲論争が今でもある」ことを改めて強調し、この状況に「終止符を打とう」と2度訴えた。

 演説の冒頭では、財務省による決裁文書改竄(かいざん)問題に言及。「行政の長として責任を痛感している。改めて国民の皆様に深くお詫(わ)びを申し上げる」と陳謝し、「二度とこうしたことが起こらないよう、組織を根本から立て直し、責任を果たしていく」と表明した。

 また北朝鮮の核・ミサイル問題と関連し、「核廃棄を前提に話し合いを求めてきた北朝鮮の変化を評価する。私たちが確固たる決意で臨んだからこそ」と強調し、来月予定のトランプ米大統領との会談で、核問題について「しっかりと話をしてくる」と表明。また、「米朝首脳会談が行われるこの機会に、拉致問題を前進させるため全力で取り組んでいく」と決意を述べた。

 これに先立ち、二階俊博幹事長は党情報告で、党内の改憲論議について、「各項目の条文素案について一定の方向性を得ることができた」と評価。この案をもとに衆参両院の憲法審査会で議論を深め、「憲法改正の発議を目指す」とした上で、国民の理解を得るために「研修会を積極的に開催し活発な国民運動を展開してほしい」と語った。

 また、来賓として公明党の山口那津男代表と経団連の榊原定征会長があいさつ。山口代表は決裁文書改竄問題を念頭に「今、国民の声に謙虚に耳をそばだて、丁寧に課題解決に取り組む時」「政治の安定こそ重要」と強調したが、憲法改正には言及しなかった。

 大会では、改憲を前面に「実現を目指す」と宣言した2018年の運動方針を採択。来年の統一地方選や参院選に向けて「必勝態勢」を構築することも明記した。党大会には都道府県連代表ら約3500人が出席した。