「北朝鮮制裁法」の制定を 古川勝久氏


世日クラブ

国連・北朝鮮制裁委元専門家パネル委員 古川勝久氏

 世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が19日、都内で開かれ、2016年4月まで4年半にわたり国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会の専門家パネル委員として、加盟国による制裁の履行状況を監視してきた古川勝久氏が「北朝鮮制裁と核・ミサイル問題の行方」をテーマに講演した。

古川勝久氏

講演する国連北朝鮮制裁委員会元専門家パネル委員の古川勝久氏=19日夕、東京・文京シビックセンター

 古川氏は、北朝鮮が国連制裁を科されながらもさまざまな物資を入手している具体的な事例を紹介しながら、「北朝鮮は孤立していない。世界中に取引相手や協力者がいる」と指摘。「彼らは迂回(うかい)拠点を香港、大連、シンガポールに設けて、普通に北朝鮮とのビジネスを続けていた」と、制裁が機能していない実態を明らかにした。

 古川氏が行った国連の捜査で、北朝鮮に協力するネットワークが日本国内でも暗躍していることが判明したが、「日本国内にはそれを取り締まる法律がない」と指摘。日本人エージェントが培ったノウハウは、中国人エージェントらに引き継がれているとし、「国連制裁を履行していない中国とロシアは由々しき問題だ。だが、その起点は日本だ」と、日本にも大きな責任があるとの見方を示した。

 古川氏は、国連制裁の履行に必要な措置を怠ってきた日本政府の対応を批判し、「本当に史上最大の圧力を考えるのであれば、北朝鮮制裁法の制定を含め、具体的なアクションを法律レベルで考えていく必要がある」と主張した。

 講演に先立ちあいさつした世日クラブの近藤会長は、北朝鮮の核・ミサイル開発が「危険な水域」に入っているとし、日本は憲法9条改正を含め「自分の国は自分の力で守る精神」が必要だと訴えた。