代表質問、安保法廃止は理解し難い


 衆院で安倍晋三首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党代表質問が行われ、立憲民主党の枝野幸男代表、自民党の二階俊博幹事長、希望の党の玉木雄一郎代表が登壇した。

 立憲の枝野代表らが登壇

 昨年の衆院選で立憲は野党第1党となった。衆院選公示前、希望の党との合流を決めた民進党に、希望の小池百合子代表(当時)は安全保障関連法や憲法改正への容認を迫った。

 これ自体は間違っていなかったが、小池氏の「排除」発言が有権者の反発を招くとともに小池氏が衆院選に出馬しなかったこともあって希望は失速。一方、合流を拒んだ民進党メンバーで結党した立憲が政権批判票の一定の受け皿として急浮上した。

 枝野代表は代表質問で「集団的自衛権の行使容認は立憲主義に反する。これを含んだ安保法を廃止」すると述べた。

 安保法が施行され、日本は米艦防護や米国に向け発射されたミサイルの迎撃を行うことができるようになった。北朝鮮が核・ミサイル開発を進め、中国も強引な海洋進出を続ける中、安保法を廃止すれば、日米同盟に深刻な打撃を与えかねない。

 首相は施政方針演説で「わが国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではない」と述べた。枝野氏はこうした認識を共有できているのか。

 枝野氏は沖縄県で米軍ヘリコプターの事故が相次いでいることを挙げ、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設についても「少なくともいったん立ち止まって、沖縄の皆さんの理解を得る方策を模索することを求める」と述べた。

 北朝鮮情勢の緊迫化で厳しい訓練が続いているとはいえ、米軍ヘリの事故はあってはならないことだ。政府が米国に安全確保を求めるのは当然である。

 しかし、辺野古移設の中断を求める主張は理解し難い。昨年12月に宜野湾市の小学校に米軍ヘリの窓枠が落下した事故を見ても、普天間周辺の住民は大きな危険にさらされていると言える。辺野古移設は抑止力を維持しつつ、普天間の危険を除去するものであり、一日も早く実現しなければならないはずだ。

 野党が政権を批判するのは理解できるが、国家の存立に関わる外交・安全保障に関しては与野党間に共通の基盤が必要だ。日本の安全を損ないかねない政策を掲げれば、国民の信頼は得られまい。

 希望の玉木代表は、憲法9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという首相の改憲案について、自衛隊の役割が変わらないのであれば反対するとした。この案については自民党内でも意見が分かれているが、希望自身の改憲案が出なかったのは残念だった。

 単なる数合わせはやめよ

 希望と民進は幹部間で統一会派結成で合意したものの、民進が党内の了承を得られず、協議を打ち切る結果となった。

 民進は、立憲、希望との3党連携をなお目指しているが、改憲や安保法をめぐって足並みはそろっていない。「安倍1強」に対抗するためとはいえ、単なる数合わせは「野合」との批判を浴びるだけだ。