世界日報 Web版

施政方針演説、国難を跳ね返す活力と成長を


 第196通常国会が召集され、安倍晋三首相は施政方針演説で、働き方改革、人づくり、教育の無償化を重点に安定的な経済成長を目指すとした。また、北朝鮮の核・ミサイル開発など直面する脅威について、安保法制の下で強化された日米同盟を基軸に、毅然(きぜん)とした外交と積極的な防衛力の整備を唱えた。

少子高齢化への危機感

 「今また、日本は、少子高齢化という『国難』とも呼ぶべき危機に直面している」

 首相が示したこの危機感は、すべての日本人が共有し得るものだ。人口が減少する時代に入り、昨年生まれた子供は94万人余りと1899年以来最少となっている。一昨年の出生率は1・44であり、長期的には日本は自然消滅する計算だ。

 少子高齢化は戦後日本が高度経済成長してきたことの負の側面であり、東京一極集中、地方の過疎化、晩婚化などを伴っている。硬直化した戦後の構造が原因であるため、「全世代型社会保障」や「教育無償化」など財政措置を施す一方、テレワークなど人々のライフスタイルを変えることにより、経済・社会・地域など各分野を変革し、経済成長に繋(つな)げようというものだ。

 施政方針は、地方にいながら子育てしやすい仕事の環境をつくり、少子化の一因である教育費を軽減し、介護退職を減らすなどの施策を網羅的に示した。

 その中で最も重視した要素が「人」だ。首相は「全ての日本人がその可能性を存分に開花できる、新しい時代」を展望し、新たな国づくりに意欲を示した。

 国難を跳ね返す活力を人に求めるのであれば、そこには教育の質の向上が求められる。「無償化」だけで教育政策を評価するわけにはいかない。首相が指摘した道徳教科化、フリースクール、リカレント教育の拡充にも質の高い内容を期待したい。

 冒頭、旧長州・山口県が本籍の首相が、会津藩・白虎隊で戊辰戦争を戦った東京帝国大学総長・山川健次郎の「国の力は、人に在り」という言葉を紹介した。明治150年の今年を意識したとみえるが、「身分、生まれ、貧富の差にかかわらず、チャンスが与えられる」と述べた言外には、今日の国難対処のために与党と野党の健全な審議を国会側に注文する意味があったとも取れる。

 首相は、北朝鮮問題など「わが国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではない」と深刻に捉え、「従来の延長線上ではなく国民を守るために真に必要な防衛力」の整備に向けた防衛大綱を策定することを表明した。

 防衛問題は憲法9条論議と密接に絡む。首相が各党に「憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において、議論を深め、前に進めていくことを期待する」と述べたように、各党はわが国が独立国として当然の在り方となるよう憲法改正原案をまとめるべきだ。

国会審議の質を上げよ

 一部野党とマスコミは、なおも「森友・加計」問題を最大焦点にしようとしている姿勢は疑問とせざるを得ない。まず、国会審議の質を上げて少子高齢化、憲法改正、安保・外交の懸案対処に知恵を絞るべきだ。