首相、施政方針演説 改憲、具体案提示を


「働き方改革」に全力

 第196通常国会が22日召集された。安倍晋三首相は施政方針演説で、今国会の最優先課題に据える「働き方改革」や、教育無償化などを柱とする「人づくり革命」を実現させる考えを強調。憲法改正に関しては、与野党に具体案の提示を呼び掛け、国会の憲法審査会での議論の前進を促した。

安倍晋三首相

衆院本会議で施政方針演説を行う安倍晋三首相=22日午後、国会内

 会期は6月20日までの150日間。首相は通常国会を「働き方改革国会」と位置付け、関連法案の成立を期す方針。演説では「誰もがその能力を発揮できる、柔軟な労働制度へと抜本的に改革する」と訴えた。

 少子高齢化を克服するため、来年10月に予定される消費税増税による増収を活用し社会保障制度改革を推進すると表明。介護や子育ての環境改善にも取り組むとした。幼児教育無償化の対象に関しては「この夏までに結論を出す」と述べた。

 首相は「50年、100年先の未来を見据えた国づくりを行う。国のかたち、理想の姿を語るのは憲法だ」と指摘。「各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において議論を深め前に進めていくことを期待する」と表明した。

 首相は、北朝鮮の核・ミサイル開発を「重大かつ差し迫った脅威」と指摘。「安全保障環境は戦後、最も厳しい」とし、「完全、検証可能かつ不可逆的な方法で計画を放棄させる」と述べた。具体的には、米国の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」や長距離巡航ミサイルの導入で、防衛力強化を図る方針を示した。

 今年、日中平和友好条約締結から40周年に当たり、日中関係に関し「新たな段階へと押し上げる」と改善へ意欲を示した。中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」を念頭に「中国とも協力して、増大するアジアのインフラ需要に応えていく」と語った。

 2012年12月の第2次安倍内閣発足以降、施政方針演説は6回目。今回の演説は約1万1600字で、昨年と比べ約500字減った。政府4演説に対する各党代表質問は衆院で24、25両日、参院で25、26両日に行われ、与野党の論戦がスタートする。