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日韓外相会談、未来志向を損ねてはならない


 河野太郎外相が初来日した韓国の康京和外相と会談し、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応や懸案となっている一昨年末の日韓「慰安婦」合意などについて協議した。対北では日米韓3カ国の連携の重要性を再度確認できたが、合意の扱いでは双方の溝が浮き彫りとなった。歴史認識問題をめぐる韓国側の対応がまたしても両国の未来志向を損ねないか憂慮される。

 「慰安婦」合意を検証

 会談で河野外相は「慰安婦」合意の着実な履行を促したが、康外相は合意過程を検証する政府作業部会での議論に関する現状報告をするにとどまったようだ。当然、合意の履行状況が確認されてしかるべきだが、韓国側は在ソウル日本大使館前に設置された慰安婦像の移転に向けた「努力」などの合意履行にあまり関心がないとみえる。

 わざわざ作業部会の議論内容を説明したのは、それが日本側に歓迎されない公算が大きく、事前報告の手続きを済ませておきたかったからではなかろうか。作業部会は合意から2年を迎える来週、検証結果を発表するとみられているが、元慰安婦の同意なしに進められたことなどを「問題点」として指摘することも予想されている。

 もとより合意で双方が「最終的、不可逆的解決」を確認したのは合意が蒸し返されないためだった。反対世論や政権交代など国内事情を理由に2国間合意をないがしろにすれば、国際常識に反するとの誹(そし)りは免れない。

 韓国の文在寅政権は発足前から対日関係について歴史認識を安全保障・経済協力とは切り離すツートラック戦略を取る方針を示し、両国の未来志向を重視すると明言してきた。しかし、これでは過去の歴史に執着するも同然であり、未来志向の本気度が問われるというものだ。

 検証結果が発表されても、文政権がすぐ合意を見直したり、破棄したりすることはないかもしれない。韓国は来年2月に開催される平昌冬季五輪の開会式に安倍晋三首相を招待する意向と言われ、その実現の妨げになる恐れがあるからだ。だが、一時的に先送りしても最終的に合意見直しに動けば、日本側の不信を買うのは避けられない。

 未来志向を増進させるには「慰安婦」合意だけでなく全体的な環境整備も欠かせない。慰安婦関連資料を国連教育科学文化機関(ユネスコ)「世界の記憶」に登録する動きや戦前の朝鮮半島出身徴用工を象徴する銅像の設置などには市民団体や労働組合が深く関わっている。文政権にはこれら団体の主張に振り回されないことが求められる。

 北朝鮮の脅威がかつてなく高まる中、日韓は安全保障でも緊密に協力しなければならない。しかし、これを快く思わず、日韓の対立を意図的にあおろうとする国もある。文大統領が先の中国訪問で日米韓3カ国の軍事同盟に難色を示す中国側の意向を受け入れたことは、北東アジアの安保維持に決してプラスにならない。

 「反日」に刺激されるな

 当然のことながら日本もいたずらに韓国の「反日」に刺激され、国内の「嫌韓」感情を広げることは控えたい。未来志向へ日本の役割も忘れてはならない。