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19年4月退位、遺漏なく準備を進めたい


 天皇陛下の退位が2019年4月30日と決まった。皇太子殿下の即位は翌5月1日とし、この日に新元号が施行される。来週の閣議で正式決定されるが、退位と新天皇即位に向けての準備が遺漏なく進められることを望みたい。

明治以降では初めて

 天皇陛下の退位は光格天皇以来実に200年ぶりで、終身在位となった明治以降は初めてである。4月30日に決められた背景には、国民生活への影響の考慮、そして「静かな環境」を確保することがあった。重要な宮中儀式が多い1月や行政が多忙となる年度末を避けたのは妥当な判断と言える。

 昨年8月、天皇陛下が退位の御意向を強くにじませるお気持ちを表明され、国民は象徴としてのお務めに対する陛下の真摯(しんし)なお気持ちと御負担の大きさを改めて知って恐懼(きょうく)した。政府は上皇となられる陛下がお健やかに晩年を過ごされるよう環境を整えてもらいたい。

 今回退位日程を議題に「皇室会議」が開かれた。三権の長そして常陸宮殿下御夫妻、山本信一郎宮内庁長官ら計10人が出席。菅義偉官房長官が陪席し、安倍晋三首相が議長を務めた。

 皇室会議の開催は皇太子殿下と皇太子妃雅子殿下の御結婚を議題とした1993年1月以来実に25年ぶりである。退位特例法で退位期日決定に当たっては皇室会議の意見を聞くことが義務付けられたためだが、天皇を象徴として戴き、国家のアイデンティティーの核とするわが国としては当然である。

 会議では「遺漏なく準備を進め、その状況について適時適切に国民に周知を図っていく」ことを政府に求めている。すべての国民が厳粛な中にも新しい御代への希望を膨らませる中、つつがなく皇位継承が行われるよう政府は力を注ぐべきである。

 皇位継承の儀式で最も重要なのが、皇位を象徴する「三種の神器」を受け継がれる「剣璽等承継の儀」である。即位後初の新嘗祭である「大嘗祭」は19年11月に行われる見通しだ。さらに即位を内外に宣明される「即位の礼」といった一連の儀式が続く。光格天皇が譲位した際には、仁孝天皇に皇位を譲る旨の「宣命」が読まれている。これらの儀式を伝統に則(のっと)って執り行わなければならない。

 新天皇即位に伴い、秋篠宮殿下が皇位継承順位第1位の「皇嗣」となられる。秋篠宮殿下をお支えする体制もしっかりと整えてもらいたい。

 国民生活への影響という点では、新元号が大きな関心事だ。政府は来年前半にも新元号を事前公表する方針だが、混乱のないようにする必要がある。

先走った議論は避けよ

 皇族の減少について、安倍首相は国会で「先延ばしすることはできない重要な課題」としつつも「国民のコンセンサスを得るには十分な分析、検討と慎重な手続きが必要」と答弁した。

 退位に関する特例法成立に際しては、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について検討を行うという付帯決議が採択された。しかし、まずは皇位のつつがない継承をなすことが第一で、先走った議論をする時ではない。