政党機関紙購読、埼玉県庁でも共産系に偏り


教育委、5課が赤旗のみ
県作成文書で明らかに

 地方自治体の庁舎内で公費購入されている政党機関紙のうち、「しんぶん赤旗」など日本共産党系機関紙の占める割合が極端に大きい事例が相次いで報告されている。兵庫、岡山、富山の各県庁に続き、埼玉県庁でも大きな偏りが見られることがこのほど、本紙が入手した県民生活部県政情報センター作成の「埼玉県本庁における部局別政党機関紙購読部数一覧表」(9月20日付)と「埼玉県知事部局の地域機関における政党機関紙の購読状況」(平成29年度)のコピーで明らかになった。

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政党機関紙の購読数に偏りがあることが明らかになった埼玉県庁(亀井玲那撮影)

 それによると、埼玉県本庁各課と埼玉県知事部局の地域機関で購読されている政党機関紙は計227部。そのうち埼玉県議会における最大与党の自民党の機関紙「自由民主」は1部のみ。これに対し日本共産党の日刊「しんぶん赤旗」と「しんぶん赤旗」日曜版は、それぞれ89部(本庁85部と地域機関4部の合計)と10部で計99部が購読されている。またその他に、公明党の「公明新聞」78部、社民党の「社会新報」49部が続く。

 それぞれの単価を基に1年間の購読費を計算すると、共産系は383万3556円で、公明新聞(176万6232円)の2倍以上、社会新報(50万5680円)の7倍以上、自由民主(5100円)の751倍以上になる。埼玉県議会議員に占める共産党議員の割合は全体の約5%にすぎないが、政党機関紙の購読においては実に約60%の費用が共産党系紙に使用されていることになる。

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 「しんぶん赤旗」のみを購読しているのは、県民生活部、環境部、福祉部、産業労働部、農林部、教育委員会、企業局などに所属する14課および3地域事務所。これらの部局の中でも特に偏りが著しいのは教育委員会で、八つの課のうち教職員課、生徒指導課、保健体育課、特別支援教育課、生涯学習文化財課の5課が赤旗のみを購読していた。

 本紙の取材に対し、同県の担当者(県政情報センター)は政党機関紙について「課所ごとに購入が行われ、何を購入する又はしないについては、各課所の判断により行われている」とし、購読部数決定の経緯や部数や購入費の偏りが是正されるかについては分かりかねるとの返答だった。