【埼玉5区】共産の間接支援に言葉濁す


候補者の街頭演説に耳を傾ける聴衆(13日、埼玉県さいたま市)

候補者の街頭演説に耳を傾ける聴衆(13日、埼玉県さいたま市)

 9期目を狙う枝野幸男と4期目を目指す牧原秀樹の6度目の決戦に、新人の高木秀文が挑んでいる。

 前回は枝野が9万票で当選、牧原は3000票差まで追い詰めるも惜敗し、比例当選。共産は大きく引き離され1万8000票だったが、今回、候補者を取り下げて枝野を援護することとなり、牧原陣営は苦戦を強いられている。

 枝野は公示日にJR大宮駅前で演説をした後、全国を飛び回っている。選対幹部は「党首だから地元入りは難しい。今後の選挙期間中に入れるかは分からない」と話す。その忙しさは、13日に事務所の看板がまだ「民進党」となっていたことからもうかがえる。窓に貼られた横断幕でさえ、「民主党」の前にシールを張り付けて「立憲民主党」としているほどだ。“共産アレルギー”を意識してか、選挙協力の実態について選対幹部は「共産党からは応援されているだけ。どの程度票が流れてくるかは分からない」と言葉を濁した。

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 14日には共産の志位和夫委員長が枝野の留守中にJR大宮駅前で演説。枝野支援の発言はなかったが、共産の選挙カーが「比例は共産、小選挙区は枝野に」と呼び掛けながら回っている。

 牧原陣営では13日、JR大宮駅前に菅義偉官房長官が応援に駆け付けた。菅は「立憲民主党の顔ぶれは菅直人政権の中枢にいた人物ばかり。こうした人に絶対負けるわけにはいかない」と強調したが、共産との選挙協力には触れずじまい。だが、牧原選対の幹部は「共産票は自民には一切来ないので、気を引き締めている」と緊張感を隠さない。

 希望の高木は千葉出身の弁護士で9月中旬に若狭勝の政治塾に参加し、今月3日に公認を受けて6日に選挙区内に住民票を移したばかり。「しがらみのない政治」を訴えているが、14日まで小池代表はじめ党幹部の応援もなく孤軍奮闘している。(敬称略)

(宗村興一)