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退位特例法成立、安定継承を伝統踏まえた形で


 天皇陛下の退位を可能にする特例法が成立した。これによって、天皇陛下は2018年末にも退位され、皇太子殿下が皇位を継承される。天皇陛下が退位されるのは光格天皇以来200年ぶり、終身在位制となった明治以降では初めてとなる。

皇室と国民の絆示す条文

 天皇陛下は昨年8月、ビデオメッセージで退位の御意向を強くにじませるお気持ちを表明された。象徴としてのお務めに対する陛下の真摯(しんし)なお気持ちを、国民は改めて知り、恐懼した。

 正式名「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の第1条は、83歳となられた陛下が、公的行為などの継続が難しくなることを「深く案じておられる」と指摘。「国民は陛下のお気持ちを理解し、共感している」と退位に至る事情を明記した。法律の条文としては珍しい内容だが、皇室と国民の絆を示すものとなっているのは重要だ。

 政府は「18年12月下旬に退位と即位、19年元日に改元」を念頭に置いているが、19年3月末に退位と即位、4月1日に改元という案もあり、今後調整が進められていくことになる。これらの準備が遺漏なく行われることを祈りたい。

 何より代替わりは国家の一大イベントであり、新しい御代のスタートである。国民こぞっての祝意の中で進められることが求められる。

 特例法は陛下一代限りの退位を認めるものだが、菅義偉官房長官は「先例になり得る」と発言している。だが、これは先例にすべきということではない。法律名には明治以来の終身在位の「特例」としての退位であることを示す重みがあると見るべきである。

 特例法の議論の過程で、皇位の安定的継承が再び課題として浮かび上がった。この問題は基本的には、天皇陛下の退位と直接関係のないテーマである。しかし結果的には与野党の議論の中、政治的妥協の産物として「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、特例法施行後速やかに検討を行い、その結果を国会に報告する」という内容の付帯決議が採択された。

 確かに、皇位の安定的継承は解決が急がれる重要課題である。また、皇族の減少によって公務の御負担が重くなることを避ける方法を考えねばならない。しかし、女性宮家の創設が皇位の男系継承の伝統を崩すものであってはならない。

 菅長官は皇位継承に関して、父方が天皇の血筋を引く「男系男子」に限定する現行制度を堅持する方針を示した。女性宮家創設については、皇位の安定的継承の問題と分けて検討するとしたが、妥当な見解である。

旧宮家復帰の検討を

 わが国皇室においては中継ぎの女帝が存在しても男系継承が守られてきた。これは天皇の本質に関わる伝統である。

 男系を守りながら皇位の安定的継承を確保するには、戦後に連合国軍総司令部(GHQ)の方針で皇籍離脱した旧宮家の復帰も、一つの選択肢として検討すべきである。旧宮家が創設された歴史をひもとき、皇位安定継承に注がれた先人の知恵と努力をよく研究する必要がある。