民進党、共産との共闘を問い直せ


 民進党では長島昭久元防衛副大臣が離党届を提出したほか、細野豪志代表代行が辞表を出すなど、党を揺るがす事態が起きている。いずれも共産党との共闘方針への不満によるものだ。民進党にとって、共産党との連携は自滅の道でないのか。そのことを改めて真剣に問い直す必要があろう。

 長島氏が離党届を提出

 長島氏は民進党内で保守系議員の代表格と目されていた。離党の理由について「共産党との選挙共闘という党方針は受け入れ難い」と説明。「外交・安全保障政策で(自身の考えと)共産党の路線とは重なることはない」と強調した。

 共産党は党綱領で日米安保条約廃棄や自衛隊解消などを掲げており、民進党の基本政策とは大きく違っている。さらに、警察庁は共産党について「現在においても『暴力革命の方針』に変更はない」(政府答弁書)と認識している。このような「革命政党」と民進党が選挙協力することへの反発は理解できる。

 「民共共闘」は、野党勢力が乱立して「自民1強」を許したことを踏まえたものだ。昨年の参院選の1人区で野党側は13年の2勝を大きく上回る11勝を挙げ、民進党は改選議席45から10以上減らしたものの、13年より15議席多い32議席を獲得。これを受け、次期衆院選でも共産党と連携する方針だ。

 しかし、これでは多少議席を増やせても政権を取ることはできまい。民進党の政権獲得に必要なのは、憲法や外交・安全保障に関し、党内で徹底的に論議して政策を練り上げ、政権担当能力を示すことだ。

 細野氏の代表代行辞任は、執行部が共産党に配慮し、憲法改正に消極的であることが大きな理由だった。細野氏は月刊誌に発表した改憲私案の中で、教育無償化について「憲法を改正することで教育を受ける権利を拡充する」と主張したが、執行部は「改憲は不要」との立場を取っている。

 もともと民進党は党内に保守派とリベラル派を抱え、重要政策についての意見集約を先送りする体質があった。これを改善するどころか、「民共共闘」によって党内論議が停滞しているとすれば、有権者の支持は得られないだろう。

 今年3月の党大会で、蓮舫代表は外交・安保問題に一切言及しなかった。中国の強引な海洋進出や、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への米国の圧力強化による情勢緊迫など、日本を取り巻く安保環境は厳しさを増す一方だ。それにもかかわらず、具体的な対策を示せないようでは、野党第1党の党首としての資質を疑わざるを得ない。共産党と一緒になって安保関連法廃止や「テロ等準備罪」法案の廃案を目指すようでは、政権を任せることなど到底できない。

 執行部は方針撤回を

 民進党では、7月の東京都議選に向け公認予定の都議が離党する動きが広がっている。都議選で惨敗すれば、蓮舫氏の責任問題に発展しよう。長島氏の離党や細野氏の辞任を、執行部は重く受け止める必要がある。このまま「民共共闘」を続ければ党が消滅しかねない。共産党との共闘方針は撤回すべきだ。