日本共産党大会、「本気の共闘」は望めまい


 日本共産党が党大会を3年ぶりに開催した。「自共対決」時代の始まりとした前大会とは異なり、今大会は「自公政権とその補完勢力に、野党と市民の共闘が対決する新しい時代が始まった」と指摘。次期衆院選に共闘して勝利し、野党連合政権をつくることに全力を挙げるとの決議を採択した。

 支持されない政権構想

 しかし、そのハードルは高く、共産党が期待する「本気の共闘」は望めまい。安全保障、「天皇制」など重要政策や基本理念を「一時的に棚上げする」とか「独自の立場を(政権に)持ち込まない」などと言っても、それは革命戦術であり、ごまかしにしか聞こえない。柔軟路線を印象付け、政策面でソフトな表現をちりばめても本質に変わりはない。共産党に求められるのは、不破哲三前議長が主導して作られた現行綱領のさらなる見直しだ。

 今回の党大会には、民進、自由、社民の3党の幹部が出席した。他党幹部が同党大会に出席するのは結党95年で初めてのことである。「『共産党を除く』という『壁』が崩壊した」と志位和夫委員長は評価したが、次の衆院選に向け野党共闘が進展するかは大いに疑問だ。

 第一に、民進党と共産党の競合する小選挙区が190以上あり、その調整は難航必至である。第二に、共産党は候補者の相互推薦・相互支援を求め、その実現こそが「本気の共闘」にしていけるかどうかの「最大のカギ」となるとしているが、民進党は支持団体「連合」の意向を重視し相互推薦を断る方向だ。相互支援の見通しも全く立っていない。

 第三に、共産党の強調する野党連合政権構想自体に民進党が否定的だからだ。蓮舫代表は「安倍政権を倒すことに一番力を注ぐ。そこから先の話は、残念ながら共産党と考え方が違う」と拒否している。その背景には、綱領や重要政策の違いが大き過ぎる点がある。

 例えば、「天皇制」をどうするのか。党創立以来、「廃止」「転覆」を主張し、現綱領で「将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべき」として、当面は容認しながら、民主連合政府ができた時に事実上、廃止するのが共産党の考え方だ。つまり、民主連合政府の一歩手前の段階の野党連合政権ができれば「天皇制」廃止に向かう可能性のあることを民進党は容認できるのかだ。

 その他、日米安保条約の廃棄や自衛隊の解消などについても「独自の立場を(政権に)持ち込まない」とし、「国民の切実な要求と利益にかなう当面の一致点で力を合わせる」としているが、これも革命政党特有の戦術にすぎない。こうした政権構想を他党が認めないのは当然のことだ。

 党綱領の全面改定を

 志位委員長は、共産党に対する「誤解や拒否感」の克服が引き続いての課題となるとしている。それに最も効果的なのは、2004年の党大会で改定した綱領を根本から見直し、国民の声に耳を傾け、「天皇制」や日米安保、自衛隊などに対する国民多数の意見を踏まえて全面的に改定することである。