国会党首討論、カジノ含む観光戦略の説明を


 国会で自民党総裁の安倍晋三首相と民進党の蓮舫代表らが党首討論を行った。初の党首討論に臨んだ蓮舫氏は、カジノを含む統合型リゾート(IR)推進法案や働き方改革を争点としたが、米国でトランプ次期大統領の政権に移行する変動期に大局観ある論議には至らず、物足りなかった。

国民の間に残る抵抗感

 IR推進法案をめぐる賛否は、観光戦略として外国人富裕層を呼び込む統合型リゾート施設を認めるか、カジノは賭博として従来通り禁じるかだが、やくざ映画のイメージなどで国民の間に賭博、カジノへの抵抗感があるのは確かだ。

 蓮舫氏は「止(や)めたいのに止められない、家中の金を持ち出す、闇金で借金を繰り返す、多重債務、一家離散、破産、果ては自殺に追い込まれる。これがギャンブル依存症の怖さだ」と切り出して法案を批判した。また、ギャンブル依存症は厚生労働省の推計で536万人と指摘した上で「カジノ解禁」を衆院で「5時間33分の審議で強行採決に踏み切った」として、その理由を問い詰めた。

 蓮舫氏ら野党は国民の抵抗感を自民党への批判につなげたい考えだろうが、発言で正鵠(せいこく)を射ているのは審議時間の短さだ。効果的な観光戦略、地方振興策として、また施設内のカジノが安心かについて国民が納得したとは言い難い。

 経団連の榊原定征会長は「拙速な審議は避け、幅広い国民の理解と合意が得られるようしっかり議論してほしい」と注文している。

 首相はシンガポールの統合リゾート施設の視察をもとに「カジノだけでなくホテルや劇場、ショッピングモール、水族館、テーマパークなども構成する要素だ。カジノの床面積は3%」などと説明。2020年に外国人観光客4000万人を目指している中で出てきた法案であり、投資、雇用につながることに理解を求めた。

 だが、首相は議員立法であるため説明する立場にないとも述べている。この点、国会での審議時間の短さは国民の誤解を生む。IR推進法案は、首相を本部長とする推進本部を設置し、政府は法施行後1年以内をめどに、必要な法制上の措置を講じなければならないことも明記している。

 自民党は今国会での成立を目指しているが、法案のカジノ管理、不正行為の禁止、有害な影響の排除などの項目をいかに徹底させるか、射幸心を煽(あお)る一方で弊害をいかに防ぐのか、審議を尽くさなければならない。

 一方、蓮舫氏の主張には、国内で「536万人」の依存症を生んでいるパチンコやスロット、競輪、競馬、スポーツ振興くじ(toto)などと、シンガポールの「マリーナベイ・サンズ」など世界中から富裕層が集まる統合リゾート施設の客層との混同もうかがえる。

 十分な審議を求めたい

 衆院でIR推進法案に賛成した日本維新の会の片山虎之助共同代表は、ギャンブルその他の依存症対策、厳格なカジノの管理規制や営業規制を求めた。観光に安心・安全は第一であり十分な審議を求めたい。