世界日報 Web版

未来見据え憲法改正に挑戦


再改造内閣 始動(下)

 第3次再改造内閣の船出に当たり、安倍晋三首相は3日夜の記者会見で、日本の「未来」を切り拓(ひら)いていく、「未来への責任」を果たしていく、「未来」に向かって挑戦、飽くなきチャレンジを続けていくと強調し、新内閣を「未来チャレンジ内閣」と名付けた。

 外交・安保分野では、岸田文雄外相を留任させ、地球を俯瞰(ふかん)する外交を「未来」を見据えてさらに加速すると表明。中国、韓国など近隣諸国との関係強化と日露平和条約交渉の進展に言及した。欧米社会から孤立するロシアのプーチン大統領と粘り強く交流を重ねているのは、戦後残された未解決課題の一つである北方領土問題の解決に向けた首相の執念ともいえる。年内にも予定されるプーチン大統領の訪日にどれだけの土産が用意されるか、その外交手腕が問われてくる。

 また、近隣外交では、「保守派」で「安倍首相と近く」「靖国神社に毎年参拝」するという中国や韓国が毛嫌いする3点セットを備えた稲田朋美防衛相の誕生で、今年の終戦記念日を含め当分の間は中韓両国からさまざまな批判が沸き起こる可能性がある。しかし稲田防衛相の就任当日に北朝鮮の弾道ミサイルが秋田沖の排他的経済水域(EEZ)に着水する実情をみれば、特に日本と米国、韓国とのよりいっそう緊密な軍事協力が必要なことは明らかだ。中国、韓国とそれぞれ異なる戦略で当面の摩擦を克服し、より深い外交・安保面での関係を築くことも課題だ。

 首相は念願の憲法改正についても「未来」を強調した。憲法審査会での議論について、「(静かな環境において、所属政党にかかわらず…)政局ではなくて、しっかりと日本の『未来』を見据えて論議を深めていってもらいたい」と期待を述べた。国会の発議する改正原案が国民の承認(国民投票で過半数の賛成)を得るためには、憲法に関する国民的な議論が必要であり、そのためには日本の未来を見据え、党派を超えた国会の議論が必要、というのだ。

 首相の残る任期2年を考えると、秋の臨時国会から衆参両院の憲法審査会で実質的な改憲項目の絞り込みに関する論議を始めたいところだが、野党側がどこまで応じるか不透明だ。そのため今後、党の憲法改正推進本部や衆参両院の憲法審査会の幹部人事をはじめ必要な準備を整えなければならない。

 憲法改正を進める際に、党の改正草案を作った当時の総裁であり、首相と対極のハト派イメージを持つ谷垣禎一前幹事長は、うってつけの人物だ。それだけに、不慮の事故で幹事長を辞したことは残念だったはずだ。しかし、それに代わって「党において最も政治的技術を持った」(首相)二階俊博氏を幹事長に抜擢(ばってき)し、首相も属する最大派閥の長で幹事長も歴任した細田博之氏を総務会長に据えて、衆院の早期解散や総裁任期の延長などのあらゆる事態に対応できる体制の基礎を築き上げた。

 首相が政権復帰を果たして以降、国政選挙で連勝し、安全保障法制をはじめとする多くの改革を実現できたのも、アベノミクスによる経済活性化の基盤があってこそ。アベノミクスを再加速することは残る2年の総裁任期で「結果」を残すため必須の条件だ。

(政治部・武田滋樹)