岡田代表不出馬、「民共連携」で展望は開けない


 民進党の岡田克也代表は、自身の任期満了に伴う9月の代表選に出馬しない意向だ。

 岡田氏は参院選で共産党などとの共闘路線を主導した。しかし、民進党は改選議席を減らした。「民共連携」では党勢回復への展望は開けない。

安保関連法廃止を訴える

 参院選で民進、共産、社民、生活の4野党は、全国32の1人区で候補者を一本化し、3年前の2勝を大きく上回る11勝を挙げた。岡田氏が不出馬を表明した記者会見で「どん底から反転攻勢の一歩を踏み出すことができた」と述べたのは、こうした結果を踏まえたものだろう。

800

9月の代表選への不出馬に関して、会見で厳しい表情を見せる民進党の岡田克也代表=30日午後、東京都千代田区の同党本部

 だが、民進党全体では改選議席を45から32に減らしたことに目を向ける必要がある。政策的な隔たりのある共産党との選挙協力が、与党の「野合」批判や有権者の離反を招いたのは明らかだ。

 共産党は党綱領に自衛隊解消や日米安全保障条約廃棄などを掲げる。参院選の期間中には、藤野保史政策委員長(当時)から防衛費を「人を殺すための予算」とする発言も飛び出した。外国の侵略から日本を守る自衛隊を侮辱するものであり、到底容認できない。

 さらに共産党は、警察庁が「現在においても『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」(政府答弁書)政党であり、破壊活動防止法に基づく調査対象団体だ。

 参院選で野党第1党の民進党は、このような「革命政党」と一緒になって集団的自衛権行使の限定容認を柱とする安全保障関連法の廃止を訴えた。これでは議席を減らすのは当然だろう。安保関連法は、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発などを背景に、日米同盟を強化するものだ。

 民進党の姿勢は、日本を取り巻く厳しい安保環境を無視していると受け取られても仕方がないものだった。結局、目標に掲げた改憲勢力の3分の2の議席阻止も果たせなかった。

 民進党の前身の旧民主党は2009年の総選挙で大勝し、国民の大きな期待を担って政権の座に就いた。しかし、稚拙な政権運営によって3年3カ月後に政権から転落した。

 民進党が共産党などとの選挙協力を進めたのは、政権転落後の党勢低迷を脱する狙いがあったのだろう。だが、まずは安倍政権への批判の受け皿となれていないことを反省すべきだ。

 現在は「自民1強」の構図が続いている。与党の政権運営に緊張感を持たせるには、有力な野党の存在が欠かせない。政権担当経験のある民進党には、二大政党制の一翼を担うことが求められる。

立て直しのビジョン示せ

 東京都知事選でも野党4党が統一候補として推した鳥越俊太郎氏が敗北し、野党共闘の限界が露呈した。

 党内の保守系議員は、岡田氏の野党共闘路線に強く反発してきた。代表選に出馬する意向を固めている長島昭久元防衛副大臣は、野党共闘について「民進党が主体性を失った」と批判している。野党共闘を解消するのであれば、どのように党を立て直すかのビジョンを提示する必要がある。