民進党惨敗、有権者が拒絶した「民共」路線


 参院選で民進党は大きく議席を減らした。岡田克也代表が積極的に進めた共産党との選挙協力、いわゆる「民共」路線は功を奏さず、国民から拒絶された。旧民主党は下野した後、これで大型国政選挙は3度目の敗北だ。「民共」路線を清算し、解党的出直しを図らなければ、政権交代可能な政党となり得ない。

 見えてこない安保構想

 議会制民主主義を正しく機能させるには、健全野党の存在が不可欠だ。与党の政権運営や政策に問題があれば、国民は選挙を通じて政権交代を果たし、野党に次の政治を担わせる。ただし、政権が代わっても民主政治や外交、安保など国家の土台を揺るがせにしない。そうした野党が存在してこそ、与党も緊張感を持って政治に臨め、切磋琢磨(せっさたくま)して民主政治を推進できる。

岡田克也代表

記者会見する岡田克也代表=10日夜、民進党本部

 このことを民進党は結党時に誓ったはずだ。岡田代表は「国民に信頼され、日本の政治の本流を担える政党をつくっていく」とした。ところが、参院選では「自民1強」を打破するとして共産党との「民共」共闘に踏み込み、1人区すべてに統一候補を擁立した。それに対して国民は厳しい審判を下した。

 共産党は警察庁が「現在においても『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」(政府答弁書)とする破壊活動防止法に基づく調査対象団体だ。民進党は綱領に「立憲主義の堅持」を掲げたが、立憲主義の最大の敵は議会制を否定する暴力革命、全体主義のはずだ。

 だからドイツでは、ナチスの独裁を招いた反省から基本法(憲法)で自由・民主主義を否定する政党や団体の活動を禁止し、ドイツ共産党は非合法化されている。わが国の共産党も過去に火炎ビン闘争など暴力革命路線に走った前科がある。

 それにもかかわらず岡田代表は、参院選は政権交代に直接結び付かないとして、共産党と共闘した。これは立憲主義を冒涜(ぼうとく)する行為だ。こうした姿勢で「日本の政治の本流」を担えると考えているならば安易過ぎよう。

 岡田代表は「改憲勢力の3分の2阻止」を叫び続けたが、民進党内には改憲派が少なからずいる。2014年12月の総選挙後の当選者アンケートでは民主党議員の6割強が改憲に賛成だった(共同通信社調べ)。維新の党では約98%に上った。「新しい人権」の明記や改憲発議要件の緩和、緊急時の首相権限強化などを挙げる議員が多かった。

 その意味で民進党も改憲派のはずだ。少なくとも共産党の「護憲」とは一線を画していた。参院選の公約では「日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟を深化させる」としたが、これも日米安保破棄を唱え、防衛費を「人を殺すための予算」と誹謗(ひぼう)する共産党とは根本的に相いれない。

 日米同盟を具体的にどのように深化させ、激変する東アジアの安保環境に備えるのか。安保構想が皆目、見えてこない。反対のための反対論や具体策の伴わない空想的平和主義を続ける限り、それこそ「自民1強」は崩せない。

 解党的出直しが必要だ

 民進党は猛省し、人事も政策も根本的に改める解党的出直しが必要だ。