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東京都、自・民、2議席目獲得で苦戦


16参院選 注目区を行く(6)

 東京選挙区は、5から6に増えた改選議席を31人で争う最大の激戦区だ。

 公示の直前、舛添要一都知事辞任の激震が起きた。しかし、舛添都政を誕生させた自民・公明も対する民進も候補者選びでつまずき、参院選に追い風を呼び込むことができないでいる。

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 民進は都知事選出馬を見送った蓮舫と小川敏夫の現職2人を擁立。蓮舫は圧倒的な知名度で優位を確保し、自身の演説会は3回だけで、全国の応援に飛び回る余裕だ。

 小川は、蓮舫の都知事選転出が消え連合東京が頼みの綱。だが、労働組合の組織率は年々低下し、その集票力は往時と比べるべくもなく、苦しい戦いを余儀なくされている。

 一方、自民も現職の中川雅治に加え新人で元ビーチバレー選手の朝日健太郎を擁立した。しかし、朝日が出馬表明したのは6月7日で準備不足は否めない。五輪代表として2度出場しているものの、知名度に疑問符が付く。菅義偉官房長官と茂木敏充選対委員長の秘書団が投入されているが、「15人のスタッフでようやく公示日を迎えることができた」(選対幹部)と、屋台骨の弱さを懸念する。

 26日の夕方、朝日は日曜日で買い物客などでごった返すJR渋谷駅ハチ公前で街頭演説を行った。ところが、演説は数分で終え、練り歩きに移るのかと思いきや、その場で時折、通行人に握手を求める程度で、所在無げな様子を見せていた。

 党本部ではこの状況を案じ、中川の支持組織の一部分割も検討されたが、中川側がこれを断固拒否。中川選対幹部は「中川は浮動票は取れない。都連に所属する国会議員、地方議員と約150の推薦団体の『中川一本化』は守る。会合にも朝日は入れない」とガードを固める。

 このため党本部は、終盤戦で安倍首相をはじめ閣僚、党幹部をフル動員して2議席目獲得を目指す。

 対照的に、選挙上手を印象付けるのがおおさか維新の会の田中康夫だ。24日午後、JR池袋駅東口の商店街を練り歩くと多くの人が握手を求めてくる。長野県知事などを務めた知名度の高さは健在だ。若者の姿を見掛けると、すかさず「一緒に写真を撮りましょうよ」と気さくに声を掛ける。人だかりができると、マイクを向けて政治への要望などを聞き出し、即席のミニ討論会に仕立ててしまう。「リベラル保守」を標榜(ひょうぼう)する田中の陣営は「引退した日本を元気にする会の松田公太の票の受け皿になれば」(選対幹部)と、手応えを口にする。

 26日午後、JR新宿駅東口の商業施設アルタ前では、ある市民団体が非正規雇用の窮状と条件改善を訴えるミニ集会を開いていた。そのすぐ隣で、共産の山添拓が街頭演説を行っている。横断幕には「ブラックバイトをなくそう!」とある。山添は開口一番、「アベノミクスは企業の利益のため。働く者の生活、生命を犠牲にする」と叫んだ。運動員らが手にする青色のプラカードには「最低賃金時給1500円を」「ブラック企業規制強化を」と書かれている。隣の集会のプラカードも、色こそオレンジ色だが、全く同じフレーズ、字体。両者は無関係のように装っているが、実は、共産党が仕掛けているのは一目瞭然だ。

 山添は、「野党に力を得させてほしい。そして、共闘する共産党を支援してほしい」と訴えた。全国の1人区で展開する「自公対野党・市民連合」の選挙戦略を東京にも持ち込んで戦う。

 このほか公明の竹谷とし子は、強固な組織票固めに余念がない。(敬称略)

(2016参院選取材班)