世界日報 Web版

長野県、ネガキャン繰り出し杉尾批判も


16参院選 注目区を行く(3)

 「過去の得票数を合わせれば野党連合の方が多い。それを五分まで戻してきました」

 公示日の22日、長野県上田駅前でマイクを握った自民党公認の若林健太は集まった支持者を前にこう胸を張った。

600

 長野選挙区は与野党が2つの“指定席”を分けていたが、減員区となり議席1をめぐって激突。与野党共に「最重点区」に位置づけて激しい選挙戦となっている。

 過去の選挙では自民と民主(現民進)の得票はほぼ互角で、これに他の野党がまとまれば、票計算では圧倒的に自民が不利となる。「野党連合」が最も効果的に発揮されるはずの選挙区だ。

 民進党はここに元TBSキャスターの杉尾秀哉を擁立した。メディアで顔が知られている上に、安保法制を「戦争法」として廃止を要求する信州市民連合など市民団体の応援も受けて、もともと反自民の気風がある松本市などを中心に支持を得ている。とはいえ、兵庫県出身の「落下傘」候補で、長野に住み出してまだ間もない杉尾に自身の支持基盤はない。野党議員頼りの戦いになる他ないわけだ。

800

「戦争法廃止!」カード持参の支持者たち=22日、長野県上田市

 これに対して、若林も1期務めたとはいえ、父親で農水相などを歴任した若林正俊の地盤である長野市では名が知られているものの、松本市や上田市での知名度は落ちる。松本市在住のある有権者は、「若林さんは長野(市)の人だから」と、まるで別の選挙区の話のようだ。長野は大まかに東北信、中信、南信と地域が分かれ、「文化圏が違う」(同)ため、地区が違えば知名度は格段に落ちる。

 民進党は初日から岡田克也代表が現地入りし、上田、松本と遊説して回った。共産党と「一緒にやることはあり得ない」としていた連合も神津里季生会長が駆けつけて応援演説のマイクを取っている。

 一方、自民党も公示前から安倍晋三総裁、谷垣禎一幹事長、中谷元防衛相、小泉進次郎農林部会長らを次々に投入した。「野党共闘」が組まれて行われた北海道5区補選(4月)で自民党を勝利に導いた下村博文党総裁特別補佐は初日から若林に付きっきりだ。

 両陣営とも譲れない戦いを展開している中で、初っ端からネガティブキャンペーンも繰り出されている。自民党は、杉尾がキャスター時代に松本サリン事件で被害者である河野義行さんを犯人扱いして厳しく追及したことを持ち出し、「(河野さんに)謝罪もせずに長野から出馬するのは理解しがたい」と非難する。さらにTBSが情報を漏らしていたことも批判の対象になっている。「(ネガキャンは)興味を持たない主婦層には効かない」(松本市団体職員)ともいうが、これが市民にどう受け取られるかがカギだ。

 諸派では幸福実現党から同党外務局長の及川幸久が議席に臨む。

(敬称略)

(2016参院選取材班)